右パネルの数字ボタンを押した後、右上にあるボタン[Fig ON]を押すと図が拡大表示される。ボタン[UF]と[LF]も同様。テキストを表示する時にはボタン[Text ON]を押す。テキストの最初に戻る時にはボタン[Text Top]を押す。以下の解説では「図説集」なども併用しながら考えてみる。本文に用いる図表一覧

マクロ組織画像に対する疑問・意見・感想(Set A):解説/考え方

  1. 内臓はどのように配置されているのか?
     (A:基本、B:解説、C:まとめ
  2. 体腔には何が入っているのか?

  3. 下の図はサカナをどうやって切ったものか分からない。

  4. 黒いとこには何がある。

  5. 黒い色の部分は他の色と何が違うのか

  6. 黒い部分は何を表しているのか

  7. 組織標本が他の観察法より優れているところは?

  8. 21,22の部分は何ですか

  9. 38のゾウリムシみたいなのは何か?

    解説図の一覧表

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<質問1. 内臓はどのように配置されているのか?>

 魚類の内臓のことをいつも考えている人は多くはない。図(ボタンLFを押す。Fig ONも押す)のような断面で見る体は確かに迷路のようで、内臓の配置も不明瞭。納得できる意見であるし、たいへん重要な質問だと思う。

質問の解釈
この質問の意味するところを解釈すれば、以下のような例になるかもしれない。

  1. ヒトの内臓の配置図などは分かるけど、サカナの場合は学習したことがないので想像もできない、だから分からない、という意味。
  2. 腹部には胃、腸、肝臓などの臓器があるので場所はおおよそ推定できるが、薄切断面で見ているため、その部位の決め手や特定の基準がはっきりしない、分からない、という意味。
  3. 体内には内臓があるはずだが、サカナを断面として見ているため、どこを切っているのかも分からないので分からない、という意味。

 上の例とその他が混ざり合った理由で分からない、という意見かもしれない。この質問はつまり質問事例(このテキストのはじめの項目:Text Topを押す)のはじめの3つ(Text Top)が関係している事にもなる。これから説明することは、上の1)を代表例として考えてみるが、からだ全体の見方や断面の考え方も必要なので時々それらについても触れながら説明する。
 解説に用いる図を示しながら説明するが、時間があれば、はじめにボタンを押し眺めてみる。どのような解説図、概念図が関係しているのか、見学しておいてほしい。

A 基本的な考え方

 質問に対する基本的な考え方は、「脊椎動物の基本構造や体制は魚類でもヒトでも似ている」と考える事にある。「そんなバカな?」という意見も聞こえてきそうだが、ともかくそう考える事ができる(図4, 5)。これから説明するが、つまり、薄切染色標本の画像(ボタンLF)を取りあえず「地図」のように考えてみる、というところに共通の視点を置く。
 はじめに確認しておきたい項目がある。

  1. 地図には「東西南北」があるように、体にも座標のようなものが付けられている。図6、7を開いてみてほしい。「頭尾軸、背腹軸、左右軸」がある。ヒトでも同じである。ヒトの場合は「うつ伏せでベットに横たわった姿勢」を考えるとサカナと同じになる。図4のようにサカナを右回りで直立させてヒトと比較しても同じ事である。
  2. 更に、サカナでは「頭部、胴部、尾部」といった領域に区分する。ちょうど「・・大陸」といった区分と同じである。なぜサカナには「胸部」や「首/頸部」はないの? という意見は重要だけど、今のところは省略する(後述とする)。
  3. それら領域には誰でも知ってる重要な臓器がある。頭部には口、眼、脳があるし、胴部には胃や肝臓がある。ついでに手足や鰭(ヒレ)といった部分も付いている。それら領域には各自の好みで気になる部位があると思うので意識してほしい。地図で云えば、有名な都市や山脈や湖のようなものである。
  4. 心臓は重要である。ヒトの心臓は「胸」の中央にあるけれど、別の見方をすれば、左右の腕の間にある、とも云える。サカナの腕は「胸びれ」なので、胸びれ間(付け根の下/腹側)に心臓ある(図1)、と覚えると都合が良い。
  5. それと腹部の後端には肛門がある事も思い出しておこう。地図に対応させれば、何と云えば良いのか、私には分からない。
  6. 地図には北半球、南半球があるが、動物の体の場合は「臓性系と体性系」となる(図9)。難しそうな言い方だが、地図と同じように簡単に云えば「腹側と背側」ということになる(図3を参照)。腹側にある臓性系とは「内臓性器官(植物性器官)」、背側にある体性系は「体壁性器官(動物性器官)」とも呼ばれることも少し覚えておこう。
  7. 両半球があるなら「赤道」も必要なので、体の場合は「背骨または脊索」が赤道に相当する。
  8. つまり、背骨より下側には内臓があり、上側にはその他の器官があると考える。この考えは「2系6要素」という考え方で、図10を参照してほしい。
  9. ちなみに「内臓/臓性系」とは感覚器系、神経系、筋骨格系、以外の器官系である。つまり、消化系、呼吸系、循環器系、泌尿系と生殖系であり、これらが腹側にある事は納得してくれると思う。
  10. 内臓は腹側にあるが、それら臓器がデタラメに納まっている訳ではない。つまり、体の中には空間があり「体腔」と呼ばれる腔所がある事を記憶しておこう(図14, 15を参照)。手っ取り早く云えば、腹部には「腹腔」があり、その中に臓性系の主要な器官が納まっている、という筋道である。

B 質問に対する考え方と解説
1. 内臓はどのように配置されているのか?
 では、質問に対する解説をしてみたい。
  一般に云う内臓ですぐ思い出すのは腹腔内の消化器系の器官(胃、腸、肝臓など)と泌尿器系の腎臓であり、時には生殖器系も含める。もちろん血管系もある。図2を見ると分かるが、学習で習う器官系は、一緒に描くとゴチャゴチャになってしまうので、それぞれ別々に模式図化されている。それで悩む事はない。
  試しにそれら11器官系の様子を一緒に描けば図3のようになる。横から見たサカナの模式図であるが、それを頭尾軸で90度回転させ腹側から見ると図4となる。ヒトの腹面図とかなり似ている事が分かると思う(図5 も参照)。つまり、サカナの内臓もヒトと同じように考えても良い、ということになる。但し、基本は同じでも細かな事を云えばきりがないのが世の常。違いがあることも記憶しておいてほしい。 例えば、金魚やコイには胃がない。食道の次がすぐ腸になってしまう。牛の消化器をヒトのそれと比較すれば、これまたかなり違う。ヒトが基準であることに異論はないが、違う意味や類似している経緯などを疑問に思った時に確かめてみる、考える事は重要である。
 ところで、画像(ボタンLF)を見て、これは胃、これが腸で、こちらが肝臓、と云える人はそう多くはない。「内臓はどのように配置されているか」という質問に対して納得してもらえる回答を出すには「対話と通じた確認と協議」が必要であるが、腹部を見ながら「ここらあたりが胃のはずで、この色が濃い塊が肝臓、この細長いのが腸」などと考えることができるようになれば、ひとまず安心である。これでOKしてくれるかな?

C まとめ 

 これまで解説した事をまとめると次のような項目になる。

  1. 体には動物種にかかわりなく、その位置関係を理解するため「部位や座標」というものがある(図6,7を参照)。
  2. 脊椎動物の体制を支える器官系は「2系6要素」として取り扱う事ができる(図9,10を参照)。この概念は動物種を超えて共通であり、生物進化の成果物に対する基幹的な考え方である。
  3. 体内の器官臓器はそれらを収納する体腔の中にきちんと整理され納まっている(図14, 15, 16を参照)。
  4. 内臓の配置はよって、図3図5のように考える事ができる。

・・・・どうだろう、頷いてくれるかな!・・・・・・・・
 これでも納得できない人も多いかもしれない。つまり、図LFのどの部位が何に相当するのかをはっきりさせたい、中途半端は嫌だ、という立場の人もいると思うので、そのためボタン「星印」を用意した。開いてみてほしい。それで納得してくれるかな?

 

 

2)体腔には何が入っているのか?

3)下の図はサカナをどうやって切ったものか分からない。

4)黒いとこには何がある。

5)黒い色の部分は他の色と何が違うのか

6)黒い部分は何を表しているのか

7)組織標本が他の観察法より優れているところは?

8)21,22の部分は何ですか

9)38のゾウリムシみたいなのは何か?

 

解説図の一覧
 ( 文頭の数字はボタン番号 )
UF: ボタンの使い方
LF: 矢印付きマクロ組織染色標本の画像
星 : 大当たり。
.重要画像9コマ(9区分)
. ヒトの器官系区分:模式図
. 体内構造の概念図
. 体内構造の側面図と腹面図(似てるだろ1)
. ヒトとサカナなの内臓の比較(似てるだろ2)
. 体の部位座標
. 体の断面の呼び方
. サカナはどのような切り口/断面か?
. 2系6要素+α(表)
10. 2系6要素+α(解説)
11. ニジマスの内部構造(主要器官)
12. シリトリウオの主要器官
13. 魚類の主要器官(表:2系6要素区分)
14. 魚類の4体腔(模式図)
15. 魚類の4体腔(概念図)
16. 組織染色標本の隙間/空白は何か(解説)
17. 魚類の体腔と血管の繋がり
18. 体の横断面図
19. 組織切片作成の概要
20. 2色で染めるとどうなるか(部位組織の染色性)
21. 続き:2色で染めるとどうなるか(部位組織の染色性)
22. 4大組織の概要
23. 体は細胞と細胞間物質からできている:結合組織の話
24. 続き:体は細胞と細胞間物質からできている:結合組織の話
25. 結合組織(支持組織)の区分
26. 迷路の歩き方:概念
27. 画像で見る迷路の歩き方1
28. 画像で見る迷路の歩き方2
29. 上皮組織/細胞シートの概念図
30. 上皮細胞シートの基本的性質
31. 体内構造の基準区分
32. マクロ組織染色標本の学習法(概念図)

 

 
 
<Set A:君の疑問を一緒に考えよう>
ふぃg このテキストのFigは #20 まで
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下:現在の番号
30X95 : 760X620