<レベル2:実験学習に向けた「細胞培養・培養細胞・細胞培養実験」の考え方 >

このテキストは、既に細胞実験キットを試された方(お絵描き実験を経験した方)で、今後予定する実践学習(生徒さん実験)のため、お絵描き実験の原理や実技操作の要点などを必要とする実践担当者向けである。内容は「細胞培養や培養細胞」に関わる少し専門的な情報であり「細胞運動とその様態」のイメージ化を狙いとしている。その経緯から「お絵描き実験:綺麗な細胞シートの作り方」に至ることを期待するものである。その他も含まれるが、いづれにしても「レベル2」である。一助となることを期待する。

<本編の構成「目次」 >  

T. はじめに:お絵描き実験の目的 

U. 概説1:細胞培養・培養細胞・細胞培養実験とは

V. 概説2:細胞形態の変化と細胞運動(細胞の社会性)

W. 概説3: 綺麗な「単層細胞シート」の作り方(要点)

X. 実験工程に関連した「疑問や質問」の事例

Y. 時間的制約に対する実践形式:分割実験の様式

Z. お絵描き実験の後始末

[. 集団実験(実践実験学習)における実験キットの仕様(バルク仕様)

付録1. 記入表:バルク一括仕様と溶液必要量実験時間割アンケート書式

付録2(重要):細胞培養&培養細胞に関わる資料別サイト:ココ


<T. はじめに:お絵描き実験の目的>

 迅速簡便を極める「お絵描き実験」は一見単純にも思えるが、実際に行ってみると幾分複雑でもあり、初学者(受講者)に多くを求めることは困難かもしれない。段階的な取り組みや対応が必要である。
 実験とは予定された経過・結果を確認する事(確認型学習)か、それとも、経過や結果を主体的に考察すること(考察型学習)か、などと議論しても話はすぐ棚上げになってしまう。それで「実験とはともかく何かを確かめること、さて何が知りたい確かめたい」という簡単な目的意識は実験学習の場においても有効である。
 お絵描き実験の場合、誰もが期待する平素な課題(最低限の目的とその経緯)をひとつ上げれば、基質に依存した細胞シートの形成、つまり、任意の「形」を肉眼的に確認する事、であろう。「なぜ形が簡単に現れたのか」である。その意味・意義を実験材料や方法から読み解くこと、考える機会を提供すること、が実験学習の主要な目的であろう。つまり「論より証拠・されどロジックも必要」であり、その経緯から主体的な疑問を大切にすること、と思っている。
 しかし、既に基本工程に従い実験を試された方(経験者)から発せられる質問に「染色し顕微鏡観察したが綺麗な細胞シートに至らなかった、どうしたら良いの?」というものがある。それに対して、お絵描き実験の主目的は「綺麗な細胞シートを顕微鏡的に観察することだけではないよ」と言いたいが、それでは身の置き所が定まらない。
 「お絵描き実験」は、利便性・実用性・発展性の観点から、時間や物品などいろいろと制限がある実践学習の場に向けシステム化された実験系である。迅速簡便ではあるが、しかし、本実験を予定調和的に行うためには「細胞培養や培養細胞」の特性などの理解も必要である。その結果として「綺麗な細胞シートの作り方」ということも可能になると考えたい。以下にその概要を記す。

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<U. 概説1. 実験前提:細胞培養・培養細胞・細胞培養実験とは>

1. 細胞培養とは一義的には「生体組織細胞が位置する微小環境を人為的に再現すること」と解釈することも可能であり、よって、培養細胞は生体組織細胞の様態を少なからず反映する。つまり、培養細胞実験とは「生体との類似性に基づき検証考察」する対象でもある。

2. つまり、培養細胞とは「人為的に維持管理される細胞のこと」、細胞培養とは「細胞が生きるに必要な環境(培養条件)を整えること」である。

3. 一般的な培養細胞が生きるに必要な要素・条件とは「培養基質、基礎培地、機能発現因子」の充足であり、加えて「培養容器、培養温度、無菌性」など(細胞培養3要素+α)である。補足:機能発現因子とは細胞増殖因子などのことであり、一般的には血清(ウシ胎児血清 FBS )の添加により代替される。

4. その様態は、培養容器(培養フラスコやシャーレ)をもとに構成される「接着基質(固相)、培養液(液層)、ヘッドスペース(気相)」の3層構造である。細胞は容器底面(固相)に接着・伸展し、細胞運動を行ないながら一連のプロセスを経る。つまり「培養時間」に依存して形態を変化させ細胞集団(細胞社会)として生きる。

5. 細胞培養実験とは、実技手順(工程)に従い「細胞が生きるに必要な条件:培養環境」を段階的に整え、細胞自身が保持する(継承獲得した)自律性を「培養時間の設定」により発揮させることである。その経緯から得られる知見や、目的とした結果について、検証考察することである。

4. 培養時間とは、いわゆる「待ち時間」であるが、細胞においては「自律的な活動時間」である。よって、細胞培養実験では環境条件の選択と計画性が不可欠であり、培養開始後、細胞は時間経過にともない独自の自律性(プログラム)に基づき刻々その様態を変化させ、結果的には「定常期」へ向かう。詳細は「概説2」を参照。

5. なお、細胞培養実験は細胞培養技術に基づくものであり、技術開発や技術理解は対象物の物性や性質の理解に基づき進められることから、細胞培養実験とは「細胞の基本的なあるいは特異的な性質」を知るためと考えることも重要である。

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<V. 概説2. 細胞の行動様式:細胞形態の変化と細胞運動(細胞の社会性)>

 :下記の詳細は「細胞の分子生物学」などを参照して頂きたい。

1. 細胞培養実験では細胞浮遊液(細胞液)を必要とするが、その状態の細胞は球状であり単離分散した状態である。細胞培養はその細胞液を接着基質として適した材質の容器(培養フラスコなど)に加える(接種する/播種する)ことにより開始する(つまり培養時間が始まる)。培養開始直後の細胞(底面に沈下直後の細胞)はよって「球状」である。細胞膜は2重膜のシャボン玉状であるため、浮遊状態では球形を示す。

2. 培養開始直後、底面に沈下した細胞は基質底面に接触すると自律的な反応(細胞運動)を開始する。つまり、接着反応(基質を認識選択)の後、一連のプロセス、例えば「接着→伸展→移動→配列→」といったステージを経る。補足:「基質:マトリックス」とは「何かを生み出すところ」というニュアンスの専門用語。

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3. 細胞が基質に接着するとは、接着基質と細胞膜表面の結合部位「インテグリン」と称される構造との特異的な結合であり、基質-インテグリン結合反応は、その部位の「膜貫通部」に結合した細胞骨格「アクチン線維」の構造変化(細胞運動)の開始シグナルとなる。但し、細胞膜表面には陰イオンに荷電した各種糖鎖があるため、基質(底面)が塩基性あるいは陽イオン付加の物質(プラズマ処理のポリスチレン容器やアミノ基リッチなポリマー基質)の場合にも接着(非特異的結合)が可能である(接着基質になる)。培養器底面を例えば細胞接着因子(ラミニン、フィブロネクチンなど)やコラーゲン(変性物がゼラチン)などの天然型接着基質で付加処理することも有効である。

4. なお、培養細胞はその形態(形状)から線維芽様細胞上皮様細胞に2大区分される。紡錘状(1軸方向)に長細く伸長伸展する細胞が前者、周囲(多軸)に広がり扁平状を示す細胞は後者の上皮様細胞、と区別する。以下本文に記述する細胞様態は後者の上皮様細胞であり、「お絵描き実験」に用いるFHLS細胞に関する解説でもある。補足:なお、上記の区分「・・様」は由来や起源とは無関係に形状から用いられる。組織学的な上皮組織の形態区分による形状とは「機能分化」した時の形態である。 形態とは「機能を示す形」という意味。

5. 上皮様細胞の形態は基質との接触後「球状→半球状→扁平状」に変化する。それらはシグナル伝達・細胞骨格の変化に基づく細胞運動であり、細胞膜直下・細胞質伸展偏縁部にある細胞骨格「アクチン線維」の変化(重合-脱重合)による「葉状仮足糸状仮足」の伸長と波打ち運動に起因する。仮足域にはよって基質との接着部「接着斑:濃密なアクチン線維」を確認することができる。つまり、接着伸展した上皮様細胞は平面的に多軸扁平な円形あるいは多角形となる。なお、細胞運動が特に活発な線維芽様の機能性細胞が筋細胞である。

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6. 細胞密度(細胞濃度)は細胞運動にも影響する。細胞はいわゆる「細胞の社会性」を示す。培養開始時、沈下した細胞が基質底面に散在的な場合、つまり、細胞-細胞間に十分な隙間がある場合は「低密度」、沈下した球状の細胞が底面充填密度に及ぶような場合は「高密度」であり、以下にその様態を解説する。なお、Exp1.「お絵描き実験」に用いる細胞液濃度は「高密度」であり、Exp2.「細胞の形態変化の観察」では「低密度」の細胞濃度を用いる。

7. 低密度の場合、結果的には細胞-細胞間に隙間(未進出領域)が生じるため、細胞は近傍の細胞に近寄る方向に移動する。その形態は隣接細胞の方向に細胞質偏縁部が伸長する傾向を示す。つまり、仮足伸長にはその周辺状況が影響し方向性が生じる。

8. その結果、近傍域の細胞移動は数個から数十個(以上)に及ぶ細胞集合体、いわゆる「コロニー」が形成される(を形成しようとする)。この場合、伸展細胞が相互に接する境界には伸展部の重なりは生じない(相互に接触境界が生じる)。より緻密な接触になると結果的に細胞間結合が生じる。つまり細胞集合体は「敷石を敷き詰めたような様態」を示す。補足:位相差顕微鏡像ではこの状態が際立って観察される。

9. その細胞集合域(コロニー)の外周に位置する細胞や、集合域内部に生じた隙間に位置する細胞は、結果的に未進出基質域に面するため、培養条件が整っている場合(細胞増殖因子などが充足している場合)、その細胞は分裂増殖を開始し集合域を拡大する。他の集合域との隙間を埋めるように活動する。

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10. 結果的に、隣接細胞との協働による「切れ目のない細胞シートの形成」に向けた行動様式を示す。その結果、細胞は相互に緻密に接触するが、これ現象は分裂増殖の停止シグナルとなる。この現象を「接触阻害:コンタクト インヒビション」と呼ぶ。つまり、細胞の基本的性質は隙間を嫌う、である。

11. よって低密度の場合であっても、長期に渡り培養を継続すると、細胞は基質全域が「接触阻害」状態になるまで分裂増殖し単層の細胞シートを形成する。培養フラスコなどの場合、全域で隙間がなくなった状態を「繁茂状態:コンフルエント状態」と通称する。なお、接触阻害によりこれ以上の分裂増殖ができない状態とは、細胞周期の「G0」にシフトした状態である。よって、そのまま放置すると「細胞死」に至る。 あるいは、条件を整えれば「細胞機能/機能形態」を発現する(ということもある)。

12. なお、上記のように基質に依存し細胞活動がコントロールされることを「足場依存性・接着依存性」という。多くの培養細胞は足場依存性と接触阻害により単層の細胞配列(細胞シートの形成)を示すが、例外もある。つまり、接触阻害が生じない培養系(細胞株)であり、細胞が上下に重なっても分裂増殖を示す培養系である。つまり、足場依存性が希薄であり、限りなく増殖可能な細胞株のことで、いわゆるガン化した細胞(というイメージ)である。これらについては「シグナル伝達、細胞周期、分裂増殖の仕組み、ガン抑制遺伝子」などが関係し大変興味深い/おもしろいが、詳細は省略する。 なお、組織学の重層上皮とはいわゆる傷つき易いところ(皮膚や口腔、肛門など)にのみ見られる機能性構造である。

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13. 高密度の場合、つまり例えば、底面充填濃度で細胞液を容器に播種した場合、底面には球状の細胞が隙間なく沈下し、更に接着伸展するため、隣接細胞と容易に相互に接触する。その結果、その細胞集団は「敷石を敷き詰めた」ような配列となる。つまり、高密度では短時間でも単層細胞シートを形成する。同時に、隣接細胞との接触は分裂増殖の停止シグナルとなり「接触阻害」が生じる。

14. 細胞密度とは無関係の細胞様態もあり得る。つまり、底面基質と偶発的に接触できなかった細胞、つまり、既に接着した細胞の上に位置した(乗ってしまった)細胞のことである。または、細胞浮遊液の細胞が十分に単離分散していなかった場合の細胞(細胞同士が集合した凝集塊状態)の場合である。例えば、凝集塊の上部に位置した細胞は、結果的に基質との接触は持てない、つまり、接着反応による細胞活動の開始シグナルは受け取れないことになる。この場合、底面に位置する細胞が伸展移動し隙間(基質域)が生じる時までそれらの細胞は「球状」を維持することになる(運動性は示さない)。「お絵描き実験」の実施ではこの状態の理解が重要である。以下の「補足」も参照。

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補足1.「お絵描き実験」に用いるフィルムバッグ内の細胞濃度はかなりの高密度であり、また、細胞は「粗な凝集塊」状態である。もし、細胞の単離分散処理(Step3-1)が不十分な場合は、よって大半の細胞(凝集塊の上部に位置した細胞)は接着不能な状態に置かれ、球状のまま培養時間が経過することになる。結果的に1次培養が終了しても基質底面には隙間が残された状態となってしまう。詳しくは「D.概説3:要点」を参照。

補足2. 細胞の接着様式には「細胞-基質間結合」と「細胞-細胞間結合」の2タイプがあり、それぞれはCaイオンが付加することによりその結合(構造)を強化・安定させる。「お絵描き実験」に用いる細胞液(フィルムバッグ細胞)はCaイオンを最低限とした培養液から成る。つまり、1次培養ではその低Ca濃度により基質-細胞間結合を優先させ接着伸展を促し細胞シートの形成を図る。仮に高密度の細胞液に十分量のCaが含まれていると「細胞-細胞間結合」の反応も進行するため、基質-細胞間反応と競合するため、短時間による細胞シートの形成は期待できない。

補足3. 一般的な細胞培養(細胞培養技術)あるいは培養細胞は「継代操作」により維持管理され、必要に応じて実験に供される。参考として以下にその概略を記す。
 1)培養フラスコなどに形成されたコンフルエント状態の細胞は、トリプシン処理などで単離分散化(ディスパーズ)し細胞浮遊液とする。2)それを培養液で希釈し、例えば、25%コンフルエント濃度の細胞液とする。3)その細胞液を培養器に加え静置培養する(継代培養を開始する)。以上が「継代操作」であるが、その後は、4)その結果、細胞は分裂増殖を繰り返し、一定期間の後に改めてコンフルエントな細胞シートとなる。例えば、倍加速度が2日の細胞は、25%濃度で継代培養を開始すると、4日後にはコンフルエント状態となる(実際には多少長くなる)。よって、特定の実験に用いる時は、上記に従いコンフルエント状態の細胞を所定濃度に希釈し実験容器に加え、例えば、80%?コンフルエント濃度の接着伸展細胞として利用する、などとなる。補足の補足:お絵描き実験では、通常の培養細胞実験において不可欠な「トリプシン消化による細胞の単離分散:細胞液の調製」を必要としない。迅速簡便を可能とする1要因である。

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<W. 概説3. 綺麗な「単層細胞シート」の作り方(要点)>

 「お絵描き実験終了後の染色標本を顕微鏡観察するとそれほど綺麗ではない」という経緯から「綺麗な細胞シートの作り方を教えてくれ」という問い合わせを受ける時もある。確かに頷ける。そこでここではその事を念頭にその「要点」を列記する。お絵描き実験の方法や工程で特に配慮が必要な項目を取り上げる。
 つまり、「1.細胞と有効期限、2.ゼラチン塗抹、3.細胞の単離分散処理、4.1次培養(時間と温度)、5.非伸展細胞の除去(液替えやタッピング処理など)、6.染色法と標本の見方、7.その他」であり、以下にその概要を記す。

〔各要点へは下記の文字列をクリックし移動が可能〕
要点1. 細胞とその有効期限、 要点2. Step1:ゼラチン塗抹と乾燥
要点3. Step3-1:細胞の単離分散処理、 要点4. 培養1「1次培養:時間と温度」
要点5. 非伸展細胞(球状細胞)の除去(液替えやタッピング処理など)
要点6. 染色法と標本の見方、 要点7. その他:細胞の自律性と培養時間

No 工程 工程名称 略号 実践上の注意点など
0 準備 物品確認と準備   有効期限、溶液調製
1 Step 1 ゼラチン塗抹と乾燥 Gel 薄塗・完全乾燥(保存可能)
2 Step 2 メチルセルロース処理 MC/Alb 血清アルブミン(Alb)の代替
3 Step 3-1 細胞の単離分散と添加 Cell ピペティングは重要
4 培養1 1次培養(静置培養)   できるだけ長く、1時間以上
5 Step 3-2 途中経過の確認1   シャーレを回転/目視確認
6  培養1+  1次培養の継続   必要に応じて(省略も可能)
7 Step 3-3 培養液の交換 Ca-Med Ca培養液(Ca-Med)へ
8 培養2 2次培養   15分程度(以上)
9 Step 3-4 途中経過の確認2   接着強度の確認:タッピング処理
10  培養2+  2次培養の継続   必要に応じて(省略も可能)
11 Step 4 固定処理
(固定・染色処理)
G-Fix
CV
取扱い注意(飛散飛沫など)
12 Step 5 顕微鏡観察   視点をどこに置くかが重要。
13 まとめ レポート作成    

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要点1. 細胞とその有効期限

 「フィルムバッグ細胞」の有効期限は5日間である。フィルムバッグ細胞は「高密度」状態であり、また日々細胞は代謝する。その結果、細胞活性は日々低下していると考えてほしい(実験には不都合な細胞が増えていく)。よって、受け取り後はできるだけ早く実験を実施すると好結果に結びつく。補足:高密度と記したが、実際には下述するように「かなりの高濃度」である。保存中でも糖代謝「グルコース濃度の低下や乳酸値の上昇」が生じている。つまり細胞は生きているので、活性低下が顕著になる前に実験を実施する。

要点2. Step1:ゼラチン塗抹と乾燥

 本工程は細胞が接着伸展するに必要な「接着基質」の調製である。コツは「加温溶解後に、筆圧「強」で薄塗、完全乾燥」である。
1)厚塗りは不適:培養中に膨潤し「途中経過の確認」などの時に細胞が剥がれ易くなる。よって、綿棒を加温ゼラチンに浸した後は、紙タオルの上で余液を取り除く。強い筆圧で塗り付ける(描画する)、である。
2)必ず完全に乾燥させること。ほぼ乾燥したらシャーレのウラ側から「ドライヤー温風処理」も有効であるが、処理後は必ず室温まで戻してから使用すること。なお、ドライヤー送風でシャーレを飛ばさないこと。乾燥後は室温保存が可能なので、実験学習の場合、このStep1は「事前準備」として扱い、塗抹後は「放置・乾燥」である。つまり一時中断が可能である。実践的な授業計画として適しているかもしれない。

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要点3. Step3-1:細胞の単離分散処理

 フィルムバッグ内の細胞は「かなりの高密度、そのほとんどは粗な凝集塊」の状態である。そのままシャーレに添加すると、つまり「大きな細胞塊」の沈下は、顕微鏡レベルでは、細胞が底面と接触しない立体空間を形成してしまう。反して「単離分散処理」が適切に施された細胞液では、細胞が均質に沈下し底面域は細胞の粒子により充填される(ようになる)。
 例えば、大きなボール(凝集塊細胞)と極小ボール(単離細胞)をそれぞれ底面に敷き詰めた場合をイメージしてほしい。大球では底面の隙間が甚だしく広くなる、つまり、細胞が接着すべき基質面が生じてしまう。よって、本工程(単離分散処理)の重要度はかなり高いと考えてほしい。解説マニュアルに従い、単離分散処理(スポイトによるポンピング/ピペッティング処理)は必ず十分に行うこと。
 そのコツは、1)フィルムバッグは小型ビーカーなどに入れ安定した状態で行う。2)ポンピング量を大きくするため「3本指:親指・人差し指・中指」を使用する。事前にその感触を確かめる。3)スポイト先端は細胞液の上下ではなく中程としてポンピングを行う。4)細胞液を吸引後は強めの流量で吹き出す。但し、完全に吸引が終了しない段階で吹き出すと「泡だらけ」になるので注意する。5)回数は吸引/吹き出しを1回とし液量(ml)分程度、12mlの細胞液では10から12回ポンピング操作を行う、である。

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要点4. 培養1「1次培養(時間と温度)」

 本工程は「培養時間」であり細胞の自律的な活動時間である。なお、「1次培養」とは、「培養1」に加え、Step3-2「底面状態の確認」の後の「培養1+」も含まれる。つまり、Step3-3「培養液の交換:Ca-Med」の直前までを言う。
 前工程の「単離分散処理」により同条件になった細胞は、培養時間の経過とともに同調し細胞運動(接着伸展)を行い細胞シートが形成する。結論:できるだけ長く1次培養を継続すると綺麗な細胞シートになる、である。以下を参照。

□1)細胞液を添加したシャーレは「静置状態」とする。その後は動かしてはいけない。つまり「液の流動」は接着しようとする細胞活動を阻害してしまう。あるいは細胞が流動しシャーレに偏在してしまう。お盆の中に小粒のビー玉を適当量で入れた時をイメージすると都合が良い。なお、培養温度も重要であり、28℃程度で行えれば最良と考える。

□2)1次培養はできるだけ長時間の設定が望ましい。つまり、1次培養の設定時間が短い場合、例えば60分以下の場合、肉眼的に「形」は見えても顕微鏡的には細胞は十分な伸展状態には至っていない(その結果、顕微鏡的には隙間だらけのように見える)。培養時間が60分を超えると細胞は底面が充填される程度に接着し、その多くは伸展状態を開始している(「綺麗」のためにはまだ不十分)。90分程度行えばかなり充実する。2時間以上経過するとかなりきれいな「敷石を敷き詰める」ような状態の細胞シートになる。都合によっては一晩放置しても問題はない(と思う)。長ければ長い方が好結果に繋がる。細胞には十分な活動時間が必要である。

 なお、1次培養では「高密度の細胞液」を用いているため、底面全域は細胞が上下に重なった「球体充填状態」である。よって顕微鏡による個々の細胞の形状を認識することは難しい、と考える。必要な場合は、十分に接着伸展が進んだ60分程度から「底面状態の確認」に合わせて行う。
補足:時間的な制限がある実験学習の場で、どの程度の1次培養の時間が適しているかは当事者の問題であり、状況次第である。実験目的は「綺麗な細胞シートの形成」だけではないことも考慮すると計画が立て易くなるかもしれない。

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要点5. 非伸展細胞(球状細胞)の除去(液替えやタッピング処理など)

 1次培養の後はStep3-3(培養液の交換:Ca-Med)であり、更に「培養2:2次培養」が開始となる。この時点(培養液の交換直後)の様態を概説すると、底面に形成された細胞シートには(の上には)、またそのシートに偶発的に生じた微小な隙間には、液替えによっても取り除けなかった「球状の細胞」がかなり存在するはずである。
 それで「培養2」が15分程度経過したら、Step3-4(タッピング処理)を行う。つまり、物理的な刺激を与え、それら非特異的な結合を示す「球状細胞」を除く。その結果、細胞シートは敷石を敷き詰めたような「綺麗な配列」を期待したいところであるが、実際にはそれでもかなりの球状細胞が残ってしまうことも事実である。
 それで、「綺麗な細胞シートの作り方」として、繰り返しの部分も含まれるが、球状細胞を取り除く「その他の方法」を下述する。なお、観察や経験に基づく適切な操作が必要である。

□1)繰り返しとなるが、綺麗な細胞シートのためには実際には2時間以上の1次培養が適している。できるだけ長いことが重要。

□2)1次培養が十分に完了したら、シャーレ回転(Step3-2:底面状態の確認)を十分に行い、液流動により球状細胞の浮遊化を行う。更に、テーブルにシャーレを置いた状態でその側面をハサミなどで数回ほど軽く叩き、細胞を浮遊化させる。

□3)1次培養の培養液を捨てる時、シャーレを十分に傾斜させ余液をできるだけ除く。更に、ごく少量の新品培養液(Ca-Med)を細胞表面に滴下して、何度か傾斜/液流動を行いその浮遊化した細胞を除く。なお、2次培養に用いる培養液(Ca-Med)の量は3.5ml/6cmシャーレでもかまわない。但し、その場合の2次培養は30分以内とする。

□4) タッピング処理を適切に行う(マニュアルを参照)。過度の物理刺激は剥離となるので注意して行う。但し、全ての工程が万全で進んだ場合、Ca-Medで2次培養された細胞は驚くほど強く接着しているのも事実である。

□5)タッピング後に培養を継続する場合は、可能なら改めて液替えを行い、浮遊化した細胞を取り除く。

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要点6. 染色法と標本の見方

 染色液はクリスタルバイオレット(クリスタル紫:CV)である。濃染されると顕微鏡観察が困難になるため、処理時間は3分程度にする。もし、染色後に脱色したい時は低濃度のエタノール液(25%濃度程度)を加え、状況を確認し調整する。
<染色標本の見方>
 結論から言えば、本当に綺麗な単層細胞シートを染色標本として仕上げるには、上述した各項目の理解と適切な実技操作が不可欠である。しかし、いつでもどこでも予定調和的に進むとは限らない。結構難しいという意見も聞こえてくる。
 例えば、細胞の伸展配列による「形」を固定染色すると、肉眼的には綺麗に見えるが、顕微鏡で観察すると「隙間がある・ゴミのような粒々が沢山ある」といった状況に戸惑いを感じる実施担当者は少なくない。但し、球状のままの細胞は染色すると濃染されたように見えるため、それが際立って見え、綺麗な細胞シートには見えない、ということかもしれない。または、染色前の同じシャーレを位相差顕微鏡で観察した時には、綺麗に見えていたはずでなのに、「何故・なぜ?」と言うことでもある。つまり、この違いは「視点の置き方」が関係しているかもしれないので以下にそのことを記す。
 染色標本を明視野一般顕微鏡で観察すると、個々の伸展した細胞の外形(外周)は幾分不明瞭である(あまり染色されない)が、反して、内部の細胞核は際立って明瞭である。また、細胞の上や間に付着した「球状細胞」は濃染され、特に目立ってしまう。そこで、例えば、その綺麗とは思えない標本を写真撮影し、伸展していない球状細胞を無視した上で、底面に接着伸展した細胞の「外形」のみを描画してみる、とその結果は明瞭なはずである。細胞の配列が見えてくると思う。視点の置き方で違いが生じている可能性もあるので再考してほしい。
 ところで、「球状の細胞と伸展した細胞の違いは何か・なぜ形が違うか」ということを考えることは本実験の最も大きな設問課題でもある。いろいろな疑問から実験の本質(基本単位の意味意義)が見えてくることを期待する実験でもある。疑問はポジティブに、である。クローズさせないでほしい、ということは実験学習の枠組みである。

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要点7. その他:細胞の自律性と培養時間について

 「培養細胞は培養時間の経過に伴い自律的に活動する」ということが本実験の前提であり、そのための条件設定が細胞培養実験の要件である。待ち時間/培養時間はそれで重要であるが、その観点「培養時間と自律性」の意味意義から「綺麗な細胞シートの作り方」について以下にコメントしたい。
 例えば、単離分散処理(Step3-1)を省略し「細胞凝集塊を多量に含む細胞液」をそのまま使用し「お絵描き実験」を実施した場合、マニュアルに記した培養時間では明瞭な「形」を期待することはできない。しかし、例えば丸一日あるいは数日間続けて1次培養を行なえば、細胞は結果的にはきれいな単層細胞シートを形成する。これが自律性(細胞の基本的な性質)である。
 補足:しかし、無菌性/無菌操作を無視して上記を気軽に試してみるでは、時に激しい細菌増殖などに至ってしまう。実践学習の場においては、バイオリスクや安全対策の学習がそれ以前に必要となってしまう。その他を言えば切りがない。必要なことは基本的な取り組みであり、疑問は発展性として大切にするという観点に立ってほしい。段階的な取り組みも必要である。

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<X. 実験工程に関連した「疑問や質問」の事例>

 実験学習の特徴は、工程進行や材料の取扱いに応じて、その時々に適した質疑応答が成り立つことでもある。その場・その時・その課題として顕著に有効である。お絵描き実験は、体の基本単位「細胞」の考察を目的とする。つまり「培養細胞・細胞培養」を通じて多角的に「体の成り立ち」を考えてみる、という経緯にある。なお、体の成り立ちに対する一般的な視点は「階層性」であり、別様サイト「視座視点一覧」も参照してほしい(ココをクリック)。
 以下に列記する工程対応の質問項目は「お絵描き実験」に関連した「考えてみよう項目・協議事項」である。必要に応じて実践学習の場においても取り上げてみる、の事例として思いつくまま列記した。復習や事後学習として少し考えてみる、といった対象でもある。意味不明な項目もあると思うので恐縮である。

補足1:実験学習や実演実験を行えば多分(必ず?)何かしらの疑問が生じる。その場その時その課題以外のことが気になることもある。答えが見つからない疑問も生じるが、それでも考えてみることは大切であろう。考えるには「時間:プロセス」を必要とするが時には時間切れもある。しかし、クローズした訳ではないことへの配慮は必要である。学習の場はその意味でも大切である。疑問は発展に繋がるはず。考えるには「話し合い」が有効であり、共有命題としての取り扱いも可能であろう。

補足2:下述する「話し合い項目(事例)」などを適当にピックアップし「お絵描き実験」に基づく実験学習を構成することも可能であろう。つまり、実技工程を適切に分断し、待ち時間(培養時間)などを利用しながら、数回に及ぶ連続実験講義の実施である。その事例は既に紹介済みの「実験講義2:生物学の基本」である。必要に応じて参照とする(実験講義2. 単位「細胞」に基づく動物体の成り立ち:その概念化、左文字列をクリックし参照移動)。 あるいは、教員研修として実施した 『J-12 細胞シートからの形態形成:基礎実験と授業実践への応用法』である。

準備「細胞状態、 物品確認など」、 Step 1「ゼラチン塗抹と乾燥」、 Step 2「メチルセルロース処理(血清アルブミンの代替処理)」、 Step 3-1「細胞の単離分散と添加」、 培養1「1次培養(静置培養)」、 Step 3-2「途中経過の確認1」、 培養1+ 「1次培養の継続」、 Step 3-3「培養液の交換」、 培養2「2次培養」、 Step 3-4「タッピング処理」、 培養2+「2次培養の継続」、Step 4「固定処理(固定染色処理)」、 Step 5「顕微鏡観察」 、 総合考察

0. 準備「物品確認など」

 細胞(フィルムバッグ)と実験工程の確認

Q1. 培養細胞・細胞培養って何?、培養細胞はそもそもどこにその起源を持つか?。
Q2. 細胞液や培養液に「異物」などが確認されることもあるが、その理由(原因)は何か。無菌性とは何?、培養液の色は何を意味するか?
Q3. 「細胞説」って何?。
Q4. 実験とはともかく何かを確かめること、君は何が知りたい確かめたい?
Q5. 「細胞培養実験とは生体組織細胞との類似性から考察する対象である」とはどのような意味か? その具体例をお絵描き実験の工程から考えてみよう。
Q6.「体は細胞からできている、細胞と細胞間物質でできている」とはどのような意味か?
Q7. お絵描き実験の「基本4工程」で扱う「材料物品」は何か分かりましたか?

1. Step 1「ゼラチン塗抹と乾燥」

Q1. 身近な物質「ゼラチン」や「アルブミン(次工程の物質)」について知るところをまとめてみよう。(日用品や食品としてはどのようなものがあるか、など)
Q2. 骨からカルシウムを除いたらどんな形になるか?(骨を切ってみよう/どうするか/残った物質は何?)
Q3. ゼラチンとアルブミンの水溶液を加熱するとどうなるか、なぜか?(変性について考える)。
Q4. 培養基質とは何?(生体組織細胞ではどこにある、どこが相当するか)
Q5. 表皮と真皮の違いは何か?(上皮組織と結合組織とは何、どこにある?)

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2. Step 2「メチルセルロース処理(血清アルブミンの代替処理)」

(本工程は次と連続するので下記は前後の待ち時間に取り扱う。)

Q1. 血液成分を区分し箇条書きにしてみよう(血清と血漿とはどう違う?)。
Q2. 生体物質の大まかな区分を考えてみよう(構造性タンパク質、液性タンパク質とは?)。
Q3. では、コラーゲンとアルブミンは体のどの部分にあるか?

3. Step 3-1「細胞の単離分散と添加」

(本工程は次と連続するので下記は前後の待ち時間に取り扱う。)

Q1. 動物細胞のおおよその大きさはどのくらい?約__μm。関連して、バクテリア、ウイルスの大きさは?。
Q2. 浮遊状態の動物細胞は「球状」であるが、その理由は何か?

4. 培養1「1次培養(静置培養)」

Q1. 動物細胞を培養するに必要な条件や要素(培養3要素+α)について知るところを記せ。またその理由/必要性は?(生体との類似性から考えてみよう)。
Q2. 培養時間とはいわば「待ち時間」であるが、細胞自身にとってはどのような意味があるか、考えてみよう。
Q3. 細胞はシャーレ中でどのような形に変化するか、顕微鏡写真/画像を参照し協議してみよう。(Exp2.細胞形態の観察などでも可能である)
Q4. 「生物学とはもの言わぬ生物進化の成果物に替わりその成り立ちを通訳すること」と考えても良い。それでは細胞の形態変化(細胞運動)を分かり易く表現してみよう。
Q5. 細胞の基本的な形態/構造を模式図としてみよ。その時、細胞内器官は「装置」として考えてみよう。
Q6. 培養液にはどのような成分が含まれているか、考えてみよう。

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5. Step 3-2「途中経過の確認1」

(本工程は次と連続するので下記は前後の待ち時間に取り扱う。)

Q1. なぜ「形」が現れたのか、実験方法と材料の役割から考えてみよう。
Q2. これまでの工程を通じて感じた疑問を改めて意識し、自由に箇条書きにしてみよう。
Q3. 実験工程に関わる疑問や仕組み/原理を確認するためには何が必要か。

6. 培養1+ 「1次培養の継続」

(本工程は省略も可能、前後の待ち時間に対応する)

Q1. 「Exp2.細胞の形態変化と染色標本の観察」に基づき、細胞の形状変化(球状→半球状→扁平状)を区分してみよう。
Q2. 形態変化は細胞骨格に依存するが「細胞骨格」とは何か調べてみよう。その役割から区分してみよう。

7. Step 3-3「培養液の交換」

(本工程は次と連続するので下記は前後の待ち時間に取り扱う。)

Q1. 液替えに用いた培養液はカルシウムイオンを十分量含有するが、カルシウムは骨成分だけでなく細胞レベルでもその機能を発揮する。その意味を考えてみよう。
Q2. 培養液とは基礎培地に必須添加物などを添加して調製されるが、その基礎培地に含まれる成分にはどのような物質が含まれているか考えてみよう。

8. 培養2「2次培養」

Q1. 底面に残った細胞と取り除かれた細胞の違いは何か?
Q2
. 位相差顕微鏡で細胞レベルを観察し「形」を成した細胞の様態を論述してみよう。

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9. Step 3-4「タッピング処理」

(本工程は次と連続するので前後の待ち時間に取り扱う。)

Q1:細胞が底面に強く張り付いている仕組みを細胞構造(インテグリン)から考えてみよう。

10. 培養2+「2次培養の継続」

(本工程は省略も可能、前後の待ち時間に対応する)

Q1:細胞は本実験で得られた結果のような性質を示す。では、観察された細胞シートとは生体組織レベルではどこにあるか。バーチャル顕微鏡観察からその部位を確認してみよう。 また、上皮組織とはどこにあるか。

11. Step 4「固定処理(固定染色処理)」

(本工程は次と連続するので前後の待ち時間に取り扱う。)

Q1:固定とは何か、ホルマリン(ホルムアルデヒド)が固定効果を示す仕組みを論述せよ。
Q2:等張ホルマリンで固定すると細胞の表面に風船玉のような膨出ができる。何故か。等張液、等浸透状態、Na-Kポンプの観点から考察せよ。
Q3:クリスタルバイオレット(CV)は塩基性色素である。では細胞はどのようなところが濃く染まるか?
Q4. 「全ては電気的中性を好む」とはどのような意味か?

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12. Step 5「顕微鏡観察」

Q1. 球状の細胞と扁平な形状を示す細胞の違いは何?
Q2. 伸展していない球状細胞を無視した上で、底面に接着伸展した細胞の「外形」のみを描画してみよう。何が分かる?

13. 総合考察

Q1. 動物細胞と細菌(原核細胞)の操作技術の違いは細胞のどのような性質に起因するか?(技術開発とは対象物の物性や性質の理解に基づく行為である)
Q2. 実験に用いた材料の性質を明らかにするためは「対照実験」や「発展実験」が必要である。自分自身が知りたい事のために新たな実験プランを模式図として設計せよ。
Q3. 基本単位「細胞」は、言わば「点」であり、それが集まると「面/細胞シート」になる。それが閉じれば「立体」になる。体の中の細胞はそのような様態/様子を示しているのだろうか。発生/形態形成の観点から考えてみよう。腸管の断面図を組織構造から模式図とせよ。また発生初期の原腸陥入などから考えてみよう。
Q4. 細胞は基本単位である。今日の実験からその必然性を述べなさい。
Q5. 上記の質問に対するヒントの幾つかは「図説資料集」にあると思う。質問に対応(関連)する図や資料は図説集のどこに掲載されているか、確認してみよう(その領域、単元、ページ)。
Q6. 体の成り立ちは「階層性・階層構造」から考察することができる。細胞は基本単位であるが、本実験の経過・結果はどのような階層性と関連しているか。
Q7. 我々が一次情報として認知する「体やその中身」とは何もないところに面する境界である。その境界面は何からできているか。描いた「線や形」とは何か?
Q8. 体は細胞と細胞間物質からできている。では体の体制を支える器官系11区分について「朝起きる直前から玄関を出て学校へ出向く」までの1時間程度について、この11区分の名称を用い、その順列に配慮しながら作文しなさい。「ネコの前にサカナをおいたらどうなるか」の事例でも良い。

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<Y. 時間的制約に対する実践形式:分割実験の様式>

 実践学習の場に付帯する「時間的制約」に対する配慮(計画性)は、培養細胞実験(Exp1.お絵描き実験、Exp2.細胞形態の観察)の実施においても重要である。つまり、実践担当者が抱える思案のひとつには「限られた時間枠をどのように利用し実施するか?」がある。これは「その場・その時・その課題」であるが、その基本方針と事例は必要であろう。本節ではその観点を概説する。
 つまり、数時間に渡る実験時間が確保できる場合はこれまで解説した考え方や方法で対応できるが、例えば、時間枠「50分程度」で構成する必要がある場合には幾つかの工夫も必要であろう。下記「実践様式:A.実演実験、B.抜粋実験、C.分割実験、D.組み合わせ実験」はその事例である。なお、実験工程を分断的に扱い、授業の合間を利用し実施する「D.分割実験:授業の合間にお絵描きを」については、新たな区分設定(工程表を参照)に基づきその要点や具体的な方策を説明する。
 それら事例の理解には、上述した「概説1,2,3」や、実践講義の事例「実験講義2」、「生物系のロジカルシンキングトレーニング」、あるいは階層性を扱う「視座:視点一覧」など、別サイトに紹介する概要も必要と考える。参照して頂きたい(下記文字列をクリックして参照とする)。
 なお、実践学習の形式を確定するには、時間軸に基づく工程計画が必要であるが、これについては「付録:時間割表」による検討も必要であろう。

関連サイト. 実験講義2ロジカルシンキングトレーニング階層性:視座視点一覧

実施様式の事例

□A. 実演実験: デモンストレーションとして実施する。つまり、演示実験/実演実験として実施担当者が実技操作を行い、その経過・結果を共有する方法である。この場合は短時間(50分程度)でも「お絵描き実験」は完結する。つまり、各工程の終了段階を事前に準備し、待ち時間や培養中は「実施済み・省略」ということとし、準備品を用いながら実験を継続する方法である。つまり、お料理番組の方法である。

□B. 抜粋実験: お絵描き実験の目的は、実験工程の全てを網羅することだけではない、という経緯から、特に重要な工程のみを受講者が行う、という考え方である。例えば、下記の工程表に示す区分TとUを主要部分と考え実施する。シャーレ底面に任意の「形」を目視観察した段階(Step3-2)で集団学習は終了、とすることも可能であろう。つまり、「細胞をシャーレに入れたらどうなるか」という観点から、材料・方法・結果を経験し、体の基本単位「細胞」の意味意義を考察する、である。その他の工程は実践担当者やボランティアによる一括処理とすれば「綺麗な細胞シートの形成」にも繋がり、事後学習においても有効と考える。

□C. 分割実験: 十分な時間枠の確保が難しい場合、お絵描き実験の実施(実験学習)は「授業の合間の分割実験」として取り扱うことも可能である。下記の工程表に示す「波線」は、工程進行の一時中断を可能とする境界であり、表記では4区分(T〜W)である。これに基づく実施日程は、よって「分割式:複数回構成」であり、例えば「初日目(区分T)、2日目(区分U, 区分V)、3日目(区分W)」となる。その特徴は各区分の実技操作に要する時間は実質10分程度であり、つまり「残り時間」は通常授業あるいは関連授業の扱いとすることが可能である。但し、区分Vの実施については下記のような配慮を必要とする。時間配分に工夫と計画性が必要となる。

1) 1次培養は本実験の要であり十分な時間設定を必要とする。よって区分Vの「培養1+」は必須であり、できるだけ長く培養時間を設定する。
2) 区分Vに含まれるその後の操作「Step3-3:培養液の交換」、「Step3-4タッピング」、「Step4-1固定処理」はその日の適当な「休み時間」などを利用して行う。
3) その都合がつかない場合は、実施担当者やボランティアによる一括処理として実施する。
4) なお、区分Uの開始が午後遅く始まる場合は、「培養1+」を翌日まで継続し、また、その後の操作も上記に従い翌日に実施する。この場合、雑菌大増殖の可能性を否定できないのでその他の予備知識も必要であるがここでは省略する。

工程表:授業の合間の分割実験:下表「波線」で工程を分断する(詳細は本文)を参照
区分 工程 工程名称 実技時間 補足
T Step 1 ゼラチン塗抹(乾燥) 3分 薄塗後は放置・乾燥・保存
U Step 2 メチルセルロース処理 3分 処理時間は1分でOK
Step 3-1 細胞の単離分散と添加 3分 重要
培養1 1次培養(静置培養) 40分 授業時間が終了する直前まで
Step 3-2 底面状態の確認1 3分 確認後に授業終了/培養は継続
V 培養1+ 1次培養の継続(放置) 数時間 できるだけ長く設定する。
Step 3-3 培養液の交換 3分 「休み時間」に操作
培養2 2次培養 50分? 15分以上(任意時間)
Step 3-4 タッピング処理 3分 「休み時間」に操作
培養2+ 2次培養の継続 省略 省略も可能。
Step 4-1 固定処理 3分 「休み時間」に操作保存
W Step 4-2 染色処理 5分 水洗から再開する。
Step 5 顕微鏡観察 適当 視点をどこに置くかが重要。

□D. 組み合わせ実験: これは「お絵描き実験」とExp.2とした「細胞形態の顕微鏡観察」を同時あるいは並列で行う、という意味である。その理由は、お絵描き実験に対する感想や意見に散見される「培養中の細胞を顕微鏡観察したい」という経緯からである。実験学習としては望ましい形式であり、実施に適した時期は「1次培養:培養1」の待ち時間、あるいは、お絵描き実験の事前・事後、であろう。
 なお、「培養1」中の細胞観察は、上記「概説3.要点4」の経緯から難しいが、Exp.2の方法に従えば短時間で染色標本となることから50分枠であっても可能である。

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<Z. お絵描き実験の後始末>

 実践学習の観点からこまごま面倒なことを記したが、最後に改めて問うこと、考えるべきは「お絵描き実験は必要か、なぜが必要?」ということではないだろうか。そのことを「後始末」として記したい。例えば、下記のような具合である。

〔その1〕 生物学の理念は「実体と概念の連立」であり、座学講義と実験学習との連携を理想とするが、現実は知るほどであり、多数の領域を抱える生物系ではその体裁は難しい。しかし、動物体の成り立ちを必要としない生物系の学習はない。その基本単位「細胞」を無視して事は成立しない。それで「お絵描き実験」は必要である。

〔その2〕 「お絵描き実験」は迅速簡便を特徴とし、且つ、その主材料「細胞」から生じるベクトル(考える事・話し合いたいこと)、また、「細胞」に向かうベクトル、を数多く内包する。つまり、生物学の基本「体の成り立ち:階層(視座視点)と構造(要素の繋がりと配置)」という枠組みを、平易な観点から繰り返し意識することが可能な数少ない実験系であるため。 事後の継続性と発展性に富むため。

〔その3〕 学習の場は「その場・その時・その課題」であるが、「お絵描き実験」では、その前提を知識レベルに求めずとも工程進行と共に平素な観点から協議考察が可能なプロセス重視の実験系であるため。つまり、誰もが平等に「考察対象、共有命題、話し合い、発展展開」を意識できる、実感できる実験系であるため。

 以上をその旨としたいが、残念ながら意味不明と受止められるかもしれない。それでもうひとつ付記したい。特に意識してほしいこと。
 つまり、「実験とはともかく何かを確かめること、さて何が知りたい確かめたい、疑問に思った事はどんなこと」、である。このことは実験終了後にも生きている。実験終了後にこそ意識してほしい、である。つまり、本実験は座学講義に向けた導入実験としてこそ有効ではないだろうか。実験自体は終わってしまっても、その経験値と主体的な疑問は今後も継続した学習対象であり共有命題であろう。つまり、フェアな学習フィールドを提供するため、卓越したフェアプレーを望みたい、ためと私は考えたい。

以上で終わります。

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<[. 集団実験における実験キットの仕様(バルク仕様)とその使用法>

ここでは、多人数を対象とする「授業実験・実験研修」の場に有効な「バルク仕様」の実験キット構成品とその使用法について解説する。つまり「実験キットの一括包装とその使用法」である。

1.はじめに

 別様の解説に記した細胞実験キット(お絵描き実験用)の基本構成は「6cmシャーレ2枚分」に相当する。仕様はいわゆる特殊包装(フィルムバッグ、スポイトパック)、容量は必要最低限、その取扱いには「解説書」の理解が必要である。よって、自己研鑽の仕様であり「Ready-to-Use:迅速簡便に実験キットの検討を行う」に適した仕様を旨とした。
 しかし、例えば、多人数を対象とする「授業実験・実験研修」を計画する場合、受講者のためにはより簡便な使い方も可能であり、必要である。そこでここでは実施担当者向けに「バルク仕様」の実験キット構成品について解説する。

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2. 集団実験の実施要領と実験材料の概要(バルク一括仕様)

 集団実験など「多量の実験材料」を必要とする場合、その溶液は個別包装(スポイトパック)ではなく、利用者総数に応じた必要量を容器に一括分注し提供される(を予定する)。受け取り後は、よって、担当者による実験準備が必要であり、その概要は以下の各項目である。
補足1 (注意):提供するメチルセルロース(MC)とクリスタル紫染色液(CV)は「濃縮液」の状態で発送される。よって、実際に使用する際には「精製水あるいは蒸留水」により希釈し使用する(調製法は下記)。なお、利用者側は備品「使い捨てカップ」などの準備を必要とする(下記参照)。
補足2:文末表記の「バルク仕様と必要量」には、表記に従い「必要総数量」などを算出し、またリクエストの折にも利用する(提出する)。

 利用者側の準備品

□蒸留水または精製水、□新品プラカップまたは紙コップ、□小型ビーカー、
□ハサミ、□油性ペン、□紙タオル、□大型ピンセット、□温度計、
□タイマー、 □記録用紙、□新聞紙、□ゴミ袋、など

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1. 班構成

集団実験では細胞液量(フィルムバッグ細胞は約12ml:シャーレ2枚分)の関係から「2人1班」を基本単位とするが、4人テーブルの場合は2班で「1グループ」と考える。よって以下に記すグループ量(必要量ml/グループ)とは、実験テーブルを共有する人数に応じた数量である。基本的には「2人1班」なので偶数人数による実践実験とする。

2. 溶液の状態

溶液(Gel, MC, Ca-Med, G-Fix, CV)は、スポイトパックのような個別包装ではなく、学習者数に応じた総量を「容器に一括分注」し発送(提供)される。実際に学習者(受講者)が用いる時は、改めて、以下に示す「ポリカップ」や「スポイト試験管」に必要量を分注し「グループ量」として提供する。なお、MCとCVは濃縮液なので希釈調製を要する。

3.「ポリカップ」の利用(MC, Ca-Med, CV)

溶液(MC, Ca-Med, CV)は、グループ量に応じて、使い捨て型の小型透明ポリカップ(食品用の新品を用いる、50mlカップなど)に分注する。但し、必ず転倒防止策(下記4を参照)を講じ提供する。また、カップには「溶液の種別」を明記する。ちなみに、受講者が実験操作を行う場合は、「栄研3号スポイト」で所定量を吸引/吐き出しにより用いる(実験シャーレに添加する)。よって、提供する時は実技操作用のスポイトを添える。
補足:「紙カップ」をポリカップの代用として用いることも可能。また、カップは「廃液入れ」等としても利用する。

4. カップの転倒防止

溶液を分注したカップは「スポイトを立て置く」などにより転倒する可能性が大であり、転倒防止策は必須である。方法は、1)ガラスビーカーにポリカップを入れる/立てる。2)ポリカップ2個を重ね、その内底に「オモシ」を入れる。例えば大型の「平板ワッシャ-:ボルト・ナットの中間金属」を入れる。

5.「スポイト試験管」の利用(Gel, G-Fix)

栄研3号スポイトの刻印1.5mlレベルを清浄なハサミで切り取り、先端部を除いたものを「スポイト試験管」とする。作製後はポンピング部に油性ペンで液種別を明記する。溶液(Gel, G-Fix)は少量なので必要量をスポイト試験管に「グループ量」を分注し用いる。そのスタンドには50mlビーカーなどを用いる。提供する時は操作用のスポイトを添える。
 なお、ゼラチン(Gel)は加温溶解後にスポイト試験管に分注する。固定液(G-Fix)をスポイト操作で移し替えの時は「飛沫飛散」が生じないように十分注意すること。

6. 濃縮液(x20MC、x4CV)の希釈調製

1)濃縮メチルセルロース(MC)は、例えば、透明カップに蒸留水約100mlを入れ、濃縮MC液5ml をスポイトで加え希釈し、その後、種別を明記したカップにグループ量を分注する。提供する時は操作用のスポイトを添える。
2)濃縮クリスタル紫(CV)は70%エタノール溶解液である。よって、飛沫飛散や液垂れが生じ易いので、慌てず丁寧に行う。また「火気厳禁」である。希釈方法は、透明カップやガラス製の三角フラスコに、例えば、蒸留水約30mlを入れ、その後、濃縮CV液10ml をスポイトで丁寧に加える。用時、種別を明記したカップに(グループ量を)分注し提供する(転倒防止に注意)。補足:染色液は固定水洗後に用いるため、水洗設備(シンク)に転倒防止策を講じて一括設置するも好都合である。大型ピンセットなども必要である。

7. 溶液準備の時期(実験準備)

溶液の準備は、気化減少(目減り)や異物混入を防止するため、実験実施の直前(あるいは当日)に行うことが望ましい。必要に応じ、カップのフタ(蓋)として「φ10cmシャーレ」を代用として用いる。スポイト試験管の場合は「切取りポンピング部」でキャップとする。

8. 危険液への配慮

繰り返しとなるが、学習実験では「安全に対する配慮」は実施担当者の責任である。固定液(G-Fix)、染色液(CV)の取扱いについては十分注意してください(配慮してください)。

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付録1.記入表「バルク一括仕様と溶液必要量」

 (下表に「必要数量、テーブル数」を記入し、リクエスト時には提出)

発送物品:集団実験用の仕様とその必要量 (実施予定日:_月_日) 
 * 総数  人分=担当者  人+受講者  人、 
 * 予備 人分、 グループ数:   テーブル)
ID 略号 名称 必要量/1人 発送状態 総数量 (予備)
A Cell フィルムバッグ細胞 約6ml 12mlバッグ   pc( pc)
B   φ6cm培養シャーレ 1枚 バルク一括   枚( 枚)
C Gel ゼラチン 約0.25ml PPチューブ   ml( ml)
D   綿棒 1本 バルク一括   本( 本)
E x20.MC 20倍濃縮MC 0.2ml PPチューブ   ml( ml)
F Ca-Med 2次培養液 5ml 培養フラスコ   ml( ml)
G   栄研3号スポイト 6本 バルク一括   本( 本)
H G-Fix 固定液 0.15ml(3滴) PPチューブ   ml( ml)
I x4.CV 4倍濃縮染色液 約1ml PPチューブ   ml( ml)
補足:濃縮液は「精製水」で希釈。栄研3号スポイトはグループ共有。MC,Ca-Med,G-Fix,CVの各液に1本、細胞液は2人に1本、よって、スポイト必要数は「グループ当たり6本」となる。「PP」とは材質「ポリプロピレン」。「予備」数量も付記する。

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付録2. 実験学習時間割表

集団学習の場合は「工程時間割」が必要。待ち時間は「解説や協議」などにも利用する。

Step 名称物品 予定する実施時間 補足コメント
0 準備 _時_分〜_時_分(__分間) 物品・段取りの確認/解説
1 ゼラチン _時_分〜_時_分(_分間) 加温溶解、完全乾燥、保存可能
2 MC _時_分〜_時_分(_分間) 処理は1分以下でもOK
3-1 Cell/播種 _時_分〜_時_分(_分間) 落ち着いて細胞の単離分散
培養 1次培養 _時_分〜_時_分(_分間) 最低60分以上/できるだけ長く
3-2 底面確認 _時_分〜_時_分(_分間) 形が明瞭になるまで回転
  追加培養 _時_分〜_時_分(_分間)  (省略が可能)
3-3 Ca-Med _時_分〜_時_分(_分間) 浮遊化細胞はできるだけ除去
培養 2次培養 _時_分〜_時_分(_分間) 10分程度でもOK
3-4 タッピング _時_分〜_時_分(_分間) 数回まで
  追加培養 _時_分〜_時_分(_分間)  (省略が可能)
4 固定/染色 _時_分〜_時_分(_分間) 固定2分、染色3分でもOK
5 観察まとめ _時_分〜_時_分(_分間) 固定のまま保存もOK
(培養時間) * 1次培養:合計__分間、 
* 2次培養:合計__分間
 
補足:培養時間、特に1次培養は「細胞の自律的な活動時間」なのでできるだけ長いと好結果となる。培養環境と時間を保証すれば自発的な行動を示し発展的な様態を示す。上記「波線」は一時中断が可能な境界を示す。

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<生徒さんへのアンケート>

今日の実験はいかがでした。実験システムの制作者として幾つか質問をあります。回答は番号に丸印や自由記述でお願いします。記入欄が不足の時は用紙ウラ側も使って下さい。よろしくお願いします。

質問1. 学年:__年生、 性別:1)男、2)女

質問2. 生物学は好きですか:1)特に好き、2)普通、3)あまり好きではない
 コメント :_______________________________

質問3. 「培養細胞/細胞培養」という言葉をこれまで聞いたことがありましたか
:1)YES, 2)NO、
 いつどこで :______________________________

質問4. 実験は落ち着いて行えましたか?:1)YES, 2)NO、3)その他
 コメント:________________________________

質問5. 実験は有意義でしたか?
 1)大変有意義だった、2)それなりに有意義だった、3)あまり意義を感じなかった、4)その他
 理由 :________________________________

質問6. 実験方法や実技操作で戸惑ったことはありましたか。工程名や状況を記してください。
 :___________________________________

質問7. あなたの実験結果は上出来でしたか:1)YES, 2)NO、3)その他
 理由:_________________________________

質問8. 今後も細胞培養実験を行いたいですか:1)YES, 2)NO、3)その他
 コメント:________________________________

質問9.このような細胞培養実験を後輩に勧めますか:1)YES, 2)NO、3)その他
 コメント:________________________________

質問10. どのような解説や質問(質疑応答)が印象に残りましたか?
 :___________________________________

質問11. 最後に感想や意見など、自由記述をお願いします。ウラ側に記述してください。
 :___________________________________
 :___________________________________
 :___________________________________
 :___________________________________
 :___________________________________
 :___________________________________

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以上で本編は終わりです。


 

2 2 2
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.0   中 Fig.00   右 Fig.000) 
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<1-3>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.1   中 Fig.2   右 Fig.3) 

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<4-7>

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  (画像クリックで拡大表示: 左 Fig.4   中 Fig.5   右 Fig.6 )
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<7-9>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.7   中 Fig.8   右 Fig.9 )
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<10-12>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.10   中 Fig.11   右 Fig.12)
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<13-15>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.13   中 Fig.14   右 Fig.15 )
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<16-18>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.16   中 Fig.17   右 Fig.18 )
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<19-21>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.19   中 Fig.20   右 Fig.21
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<22-24>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.22   中 Fig.23   右 Fig.24 )
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<25-27>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.25   中 Fig.26   右 Fig.27)
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<28-30>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.28   中 Fig.29   右 Fig.30 )
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<31-33>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.31   中 Fig.32   右 Fig.33 )
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<34-36>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.34   中 Fig.35   右 Fig.36 )
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<37-39>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.37   中 Fig.38   右 Fig.39 )
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<40-42>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.40   中 Fig.41   右 Fig.42 ) 
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<43-45>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.43   中 Fig.44   右 Fig.45 ) 
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<46-48>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.46   中 Fig.47   右 Fig.48) 
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<49-51>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.49   中 Fig.50   右 Fig.51) 
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<52-54>

 

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.52   中 Fig.53   右 Fig.54) 
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<55-57>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.55   中 Fig.56   右 Fig.57) 
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<58-60>

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画像クリックで拡大表示: 左 Fig.58   中 Fig.59   右 Fig.60) 
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