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[体の基本10項目] へ戻る 、 [マクロ組織の話し合い]へ戻る、 [細胞実験解説集]へ移動する [視座:視点一覧]へ *講義へ戻る: 講義1へ、 講義2へ、 講義3* [組織学自主トレ〕へ <レベル2:実験学習に向けた「細胞培養・培養細胞・細胞培養実験」の考え方 > このテキストは、既に細胞実験キットを試された方(お絵描き実験を経験した方)で、今後予定する実践学習(生徒さん実験)のため、お絵描き実験の原理や実技操作の要点などを必要とする実践担当者向けである。内容は「細胞培養や培養細胞」に関わる少し専門的な情報であり「細胞運動とその様態」のイメージ化を狙いとしている。その経緯から「お絵描き実験:綺麗な細胞シートの作り方」に至ることを期待するものである。その他も含まれるが、いづれにしても「レベル2」である。一助となることを期待する。
<T. はじめに:お絵描き実験の目的> 迅速簡便を極める「お絵描き実験」は一見単純にも思えるが、実際に行ってみると幾分複雑でもあり、初学者(受講者)に多くを求めることは困難かもしれない。段階的な取り組みや対応が必要である。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <U. 概説1. 実験前提:細胞培養・培養細胞・細胞培養実験とは>1. 細胞培養とは一義的には「生体組織細胞が位置する微小環境を人為的に再現すること」と解釈することも可能であり、よって、培養細胞は生体組織細胞の様態を少なからず反映する。つまり、培養細胞実験とは「生体との類似性に基づき検証考察」する対象でもある。 2. つまり、培養細胞とは「人為的に維持管理される細胞のこと」、細胞培養とは「細胞が生きるに必要な環境(培養条件)を整えること」である。 3. 一般的な培養細胞が生きるに必要な要素・条件とは「培養基質、基礎培地、機能発現因子」の充足であり、加えて「培養容器、培養温度、無菌性」など(細胞培養3要素+α)である。補足:機能発現因子とは細胞増殖因子などのことであり、一般的には血清(ウシ胎児血清 FBS )の添加により代替される。 4. その様態は、培養容器(培養フラスコやシャーレ)をもとに構成される「接着基質(固相)、培養液(液層)、ヘッドスペース(気相)」の3層構造である。細胞は容器底面(固相)に接着・伸展し、細胞運動を行ないながら一連のプロセスを経る。つまり「培養時間」に依存して形態を変化させ細胞集団(細胞社会)として生きる。 5. 細胞培養実験とは、実技手順(工程)に従い「細胞が生きるに必要な条件:培養環境」を段階的に整え、細胞自身が保持する(継承獲得した)自律性を「培養時間の設定」により発揮させることである。その経緯から得られる知見や、目的とした結果について、検証考察することである。 4. 培養時間とは、いわゆる「待ち時間」であるが、細胞においては「自律的な活動時間」である。よって、細胞培養実験では環境条件の選択と計画性が不可欠であり、培養開始後、細胞は時間経過にともない独自の自律性(プログラム)に基づき刻々その様態を変化させ、結果的には「定常期」へ向かう。詳細は「概説2」を参照。 5. なお、細胞培養実験は細胞培養技術に基づくものであり、技術開発や技術理解は対象物の物性や性質の理解に基づき進められることから、細胞培養実験とは「細胞の基本的なあるいは特異的な性質」を知るためと考えることも重要である。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <V. 概説2. 細胞の行動様式:細胞形態の変化と細胞運動(細胞の社会性)>:下記の詳細は「細胞の分子生物学」などを参照して頂きたい。 1. 細胞培養実験では細胞浮遊液(細胞液)を必要とするが、その状態の細胞は球状であり単離分散した状態である。細胞培養はその細胞液を接着基質として適した材質の容器(培養フラスコなど)に加える(接種する/播種する)ことにより開始する(つまり培養時間が始まる)。培養開始直後の細胞(底面に沈下直後の細胞)はよって「球状」である。細胞膜は2重膜のシャボン玉状であるため、浮遊状態では球形を示す。 2. 培養開始直後、底面に沈下した細胞は基質底面に接触すると自律的な反応(細胞運動)を開始する。つまり、接着反応(基質を認識選択)の後、一連のプロセス、例えば「接着→伸展→移動→配列→」といったステージを経る。補足:「基質:マトリックス」とは「何かを生み出すところ」というニュアンスの専門用語。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 3. 細胞が基質に接着するとは、接着基質と細胞膜表面の結合部位「インテグリン」と称される構造との特異的な結合であり、基質-インテグリン結合反応は、その部位の「膜貫通部」に結合した細胞骨格「アクチン線維」の構造変化(細胞運動)の開始シグナルとなる。但し、細胞膜表面には陰イオンに荷電した各種糖鎖があるため、基質(底面)が塩基性あるいは陽イオン付加の物質(プラズマ処理のポリスチレン容器やアミノ基リッチなポリマー基質)の場合にも接着(非特異的結合)が可能である(接着基質になる)。培養器底面を例えば細胞接着因子(ラミニン、フィブロネクチンなど)やコラーゲン(変性物がゼラチン)などの天然型接着基質で付加処理することも有効である。 4. なお、培養細胞はその形態(形状)から線維芽様細胞と上皮様細胞に2大区分される。紡錘状(1軸方向)に長細く伸長伸展する細胞が前者、周囲(多軸)に広がり扁平状を示す細胞は後者の上皮様細胞、と区別する。以下本文に記述する細胞様態は後者の上皮様細胞であり、「お絵描き実験」に用いるFHLS細胞に関する解説でもある。補足:なお、上記の区分「・・様」は由来や起源とは無関係に形状から用いられる。組織学的な上皮組織の形態区分による形状とは「機能分化」した時の形態である。 形態とは「機能を示す形」という意味。 5. 上皮様細胞の形態は基質との接触後「球状→半球状→扁平状」に変化する。それらはシグナル伝達・細胞骨格の変化に基づく細胞運動であり、細胞膜直下・細胞質伸展偏縁部にある細胞骨格「アクチン線維」の変化(重合-脱重合)による「葉状仮足・糸状仮足」の伸長と波打ち運動に起因する。仮足域にはよって基質との接着部「接着斑:濃密なアクチン線維」を確認することができる。つまり、接着伸展した上皮様細胞は平面的に多軸扁平な円形あるいは多角形となる。なお、細胞運動が特に活発な線維芽様の機能性細胞が筋細胞である。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 6. 細胞密度(細胞濃度)は細胞運動にも影響する。細胞はいわゆる「細胞の社会性」を示す。培養開始時、沈下した細胞が基質底面に散在的な場合、つまり、細胞-細胞間に十分な隙間がある場合は「低密度」、沈下した球状の細胞が底面充填密度に及ぶような場合は「高密度」であり、以下にその様態を解説する。なお、Exp1.「お絵描き実験」に用いる細胞液濃度は「高密度」であり、Exp2.「細胞の形態変化の観察」では「低密度」の細胞濃度を用いる。 7. 低密度の場合、結果的には細胞-細胞間に隙間(未進出領域)が生じるため、細胞は近傍の細胞に近寄る方向に移動する。その形態は隣接細胞の方向に細胞質偏縁部が伸長する傾向を示す。つまり、仮足伸長にはその周辺状況が影響し方向性が生じる。 8. その結果、近傍域の細胞移動は数個から数十個(以上)に及ぶ細胞集合体、いわゆる「コロニー」が形成される(を形成しようとする)。この場合、伸展細胞が相互に接する境界には伸展部の重なりは生じない(相互に接触境界が生じる)。より緻密な接触になると結果的に細胞間結合が生じる。つまり細胞集合体は「敷石を敷き詰めたような様態」を示す。補足:位相差顕微鏡像ではこの状態が際立って観察される。 9. その細胞集合域(コロニー)の外周に位置する細胞や、集合域内部に生じた隙間に位置する細胞は、結果的に未進出基質域に面するため、培養条件が整っている場合(細胞増殖因子などが充足している場合)、その細胞は分裂増殖を開始し集合域を拡大する。他の集合域との隙間を埋めるように活動する。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 10. 結果的に、隣接細胞との協働による「切れ目のない細胞シートの形成」に向けた行動様式を示す。その結果、細胞は相互に緻密に接触するが、これ現象は分裂増殖の停止シグナルとなる。この現象を「接触阻害:コンタクト インヒビション」と呼ぶ。つまり、細胞の基本的性質は隙間を嫌う、である。 11. よって低密度の場合であっても、長期に渡り培養を継続すると、細胞は基質全域が「接触阻害」状態になるまで分裂増殖し単層の細胞シートを形成する。培養フラスコなどの場合、全域で隙間がなくなった状態を「繁茂状態:コンフルエント状態」と通称する。なお、接触阻害によりこれ以上の分裂増殖ができない状態とは、細胞周期の「G0」にシフトした状態である。よって、そのまま放置すると「細胞死」に至る。 あるいは、条件を整えれば「細胞機能/機能形態」を発現する(ということもある)。 12. なお、上記のように基質に依存し細胞活動がコントロールされることを「足場依存性・接着依存性」という。多くの培養細胞は足場依存性と接触阻害により単層の細胞配列(細胞シートの形成)を示すが、例外もある。つまり、接触阻害が生じない培養系(細胞株)であり、細胞が上下に重なっても分裂増殖を示す培養系である。つまり、足場依存性が希薄であり、限りなく増殖可能な細胞株のことで、いわゆるガン化した細胞(というイメージ)である。これらについては「シグナル伝達、細胞周期、分裂増殖の仕組み、ガン抑制遺伝子」などが関係し大変興味深い/おもしろいが、詳細は省略する。 なお、組織学の重層上皮とはいわゆる傷つき易いところ(皮膚や口腔、肛門など)にのみ見られる機能性構造である。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 13. 高密度の場合、つまり例えば、底面充填濃度で細胞液を容器に播種した場合、底面には球状の細胞が隙間なく沈下し、更に接着伸展するため、隣接細胞と容易に相互に接触する。その結果、その細胞集団は「敷石を敷き詰めた」ような配列となる。つまり、高密度では短時間でも単層細胞シートを形成する。同時に、隣接細胞との接触は分裂増殖の停止シグナルとなり「接触阻害」が生じる。 14. 細胞密度とは無関係の細胞様態もあり得る。つまり、底面基質と偶発的に接触できなかった細胞、つまり、既に接着した細胞の上に位置した(乗ってしまった)細胞のことである。または、細胞浮遊液の細胞が十分に単離分散していなかった場合の細胞(細胞同士が集合した凝集塊状態)の場合である。例えば、凝集塊の上部に位置した細胞は、結果的に基質との接触は持てない、つまり、接着反応による細胞活動の開始シグナルは受け取れないことになる。この場合、底面に位置する細胞が伸展移動し隙間(基質域)が生じる時までそれらの細胞は「球状」を維持することになる(運動性は示さない)。「お絵描き実験」の実施ではこの状態の理解が重要である。以下の「補足」も参照。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 補足1.「お絵描き実験」に用いるフィルムバッグ内の細胞濃度はかなりの高密度であり、また、細胞は「粗な凝集塊」状態である。もし、細胞の単離分散処理(Step3-1)が不十分な場合は、よって大半の細胞(凝集塊の上部に位置した細胞)は接着不能な状態に置かれ、球状のまま培養時間が経過することになる。結果的に1次培養が終了しても基質底面には隙間が残された状態となってしまう。詳しくは「D.概説3:要点」を参照。 補足2. 細胞の接着様式には「細胞-基質間結合」と「細胞-細胞間結合」の2タイプがあり、それぞれはCaイオンが付加することによりその結合(構造)を強化・安定させる。「お絵描き実験」に用いる細胞液(フィルムバッグ細胞)はCaイオンを最低限とした培養液から成る。つまり、1次培養ではその低Ca濃度により基質-細胞間結合を優先させ接着伸展を促し細胞シートの形成を図る。仮に高密度の細胞液に十分量のCaが含まれていると「細胞-細胞間結合」の反応も進行するため、基質-細胞間反応と競合するため、短時間による細胞シートの形成は期待できない。
補足3. 一般的な細胞培養(細胞培養技術)あるいは培養細胞は「継代操作」により維持管理され、必要に応じて実験に供される。参考として以下にその概略を記す。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <W. 概説3. 綺麗な「単層細胞シート」の作り方(要点)> 「お絵描き実験終了後の染色標本を顕微鏡観察するとそれほど綺麗ではない」という経緯から「綺麗な細胞シートの作り方を教えてくれ」という問い合わせを受ける時もある。確かに頷ける。そこでここではその事を念頭にその「要点」を列記する。お絵描き実験の方法や工程で特に配慮が必要な項目を取り上げる。
・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 要点1. 細胞とその有効期限「フィルムバッグ細胞」の有効期限は5日間である。フィルムバッグ細胞は「高密度」状態であり、また日々細胞は代謝する。その結果、細胞活性は日々低下していると考えてほしい(実験には不都合な細胞が増えていく)。よって、受け取り後はできるだけ早く実験を実施すると好結果に結びつく。補足:高密度と記したが、実際には下述するように「かなりの高濃度」である。保存中でも糖代謝「グルコース濃度の低下や乳酸値の上昇」が生じている。つまり細胞は生きているので、活性低下が顕著になる前に実験を実施する。 要点2. Step1:ゼラチン塗抹と乾燥 本工程は細胞が接着伸展するに必要な「接着基質」の調製である。コツは「加温溶解後に、筆圧「強」で薄塗、完全乾燥」である。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 要点3. Step3-1:細胞の単離分散処理 フィルムバッグ内の細胞は「かなりの高密度、そのほとんどは粗な凝集塊」の状態である。そのままシャーレに添加すると、つまり「大きな細胞塊」の沈下は、顕微鏡レベルでは、細胞が底面と接触しない立体空間を形成してしまう。反して「単離分散処理」が適切に施された細胞液では、細胞が均質に沈下し底面域は細胞の粒子により充填される(ようになる)。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 要点4. 培養1「1次培養(時間と温度)」 本工程は「培養時間」であり細胞の自律的な活動時間である。なお、「1次培養」とは、「培養1」に加え、Step3-2「底面状態の確認」の後の「培養1+」も含まれる。つまり、Step3-3「培養液の交換:Ca-Med」の直前までを言う。
なお、1次培養では「高密度の細胞液」を用いているため、底面全域は細胞が上下に重なった「球体充填状態」である。よって顕微鏡による個々の細胞の形状を認識することは難しい、と考える。必要な場合は、十分に接着伸展が進んだ60分程度から「底面状態の確認」に合わせて行う。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 要点5. 非伸展細胞(球状細胞)の除去(液替えやタッピング処理など) 1次培養の後はStep3-3(培養液の交換:Ca-Med)であり、更に「培養2:2次培養」が開始となる。この時点(培養液の交換直後)の様態を概説すると、底面に形成された細胞シートには(の上には)、またそのシートに偶発的に生じた微小な隙間には、液替えによっても取り除けなかった「球状の細胞」がかなり存在するはずである。
・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 要点6. 染色法と標本の見方 染色液はクリスタルバイオレット(クリスタル紫:CV)である。濃染されると顕微鏡観察が困難になるため、処理時間は3分程度にする。もし、染色後に脱色したい時は低濃度のエタノール液(25%濃度程度)を加え、状況を確認し調整する。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 要点7. その他:細胞の自律性と培養時間について 「培養細胞は培養時間の経過に伴い自律的に活動する」ということが本実験の前提であり、そのための条件設定が細胞培養実験の要件である。待ち時間/培養時間はそれで重要であるが、その観点「培養時間と自律性」の意味意義から「綺麗な細胞シートの作り方」について以下にコメントしたい。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <X. 実験工程に関連した「疑問や質問」の事例> 実験学習の特徴は、工程進行や材料の取扱いに応じて、その時々に適した質疑応答が成り立つことでもある。その場・その時・その課題として顕著に有効である。お絵描き実験は、体の基本単位「細胞」の考察を目的とする。つまり「培養細胞・細胞培養」を通じて多角的に「体の成り立ち」を考えてみる、という経緯にある。なお、体の成り立ちに対する一般的な視点は「階層性」であり、別様サイト「視座視点一覧」も参照してほしい(ココをクリック)。 補足1:実験学習や実演実験を行えば多分(必ず?)何かしらの疑問が生じる。その場その時その課題以外のことが気になることもある。答えが見つからない疑問も生じるが、それでも考えてみることは大切であろう。考えるには「時間:プロセス」を必要とするが時には時間切れもある。しかし、クローズした訳ではないことへの配慮は必要である。学習の場はその意味でも大切である。疑問は発展に繋がるはず。考えるには「話し合い」が有効であり、共有命題としての取り扱いも可能であろう。 補足2:下述する「話し合い項目(事例)」などを適当にピックアップし「お絵描き実験」に基づく実験学習を構成することも可能であろう。つまり、実技工程を適切に分断し、待ち時間(培養時間)などを利用しながら、数回に及ぶ連続実験講義の実施である。その事例は既に紹介済みの「実験講義2:生物学の基本」である。必要に応じて参照とする(実験講義2. 単位「細胞」に基づく動物体の成り立ち:その概念化、左文字列をクリックし参照移動)。 あるいは、教員研修として実施した 『J-12 細胞シートからの形態形成:基礎実験と授業実践への応用法』である。
0. 準備「物品確認など」細胞(フィルムバッグ)と実験工程の確認
1. Step 1「ゼラチン塗抹と乾燥」
2. Step 2「メチルセルロース処理(血清アルブミンの代替処理)」
3. Step 3-1「細胞の単離分散と添加」
4. 培養1「1次培養(静置培養)」
5. Step 3-2「途中経過の確認1」
6. 培養1+ 「1次培養の継続」
7. Step 3-3「培養液の交換」
8. 培養2「2次培養」
9. Step 3-4「タッピング処理」
10. 培養2+「2次培養の継続」
11. Step 4「固定処理(固定染色処理)」
12. Step 5「顕微鏡観察」
13. 総合考察
・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <Y. 時間的制約に対する実践形式:分割実験の様式> 実践学習の場に付帯する「時間的制約」に対する配慮(計画性)は、培養細胞実験(Exp1.お絵描き実験、Exp2.細胞形態の観察)の実施においても重要である。つまり、実践担当者が抱える思案のひとつには「限られた時間枠をどのように利用し実施するか?」がある。これは「その場・その時・その課題」であるが、その基本方針と事例は必要であろう。本節ではその観点を概説する。 関連サイト. 実験講義2、 ロジカルシンキングトレーニング、 階層性:視座視点一覧、 実施様式の事例
・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <Z. お絵描き実験の後始末>実践学習の観点からこまごま面倒なことを記したが、最後に改めて問うこと、考えるべきは「お絵描き実験は必要か、なぜが必要?」ということではないだろうか。そのことを「後始末」として記したい。例えば、下記のような具合である。 〔その1〕 生物学の理念は「実体と概念の連立」であり、座学講義と実験学習との連携を理想とするが、現実は知るほどであり、多数の領域を抱える生物系ではその体裁は難しい。しかし、動物体の成り立ちを必要としない生物系の学習はない。その基本単位「細胞」を無視して事は成立しない。それで「お絵描き実験」は必要である。 〔その2〕 「お絵描き実験」は迅速簡便を特徴とし、且つ、その主材料「細胞」から生じるベクトル(考える事・話し合いたいこと)、また、「細胞」に向かうベクトル、を数多く内包する。つまり、生物学の基本「体の成り立ち:階層(視座視点)と構造(要素の繋がりと配置)」という枠組みを、平易な観点から繰り返し意識することが可能な数少ない実験系であるため。 事後の継続性と発展性に富むため。 〔その3〕 学習の場は「その場・その時・その課題」であるが、「お絵描き実験」では、その前提を知識レベルに求めずとも工程進行と共に平素な観点から協議考察が可能なプロセス重視の実験系であるため。つまり、誰もが平等に「考察対象、共有命題、話し合い、発展展開」を意識できる、実感できる実験系であるため。 以上をその旨としたいが、残念ながら意味不明と受止められるかもしれない。それでもうひとつ付記したい。特に意識してほしいこと。 以上で終わります。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ <[. 集団実験における実験キットの仕様(バルク仕様)とその使用法>ここでは、多人数を対象とする「授業実験・実験研修」の場に有効な「バルク仕様」の実験キット構成品とその使用法について解説する。つまり「実験キットの一括包装とその使用法」である。 1.はじめに 別様の解説に記した細胞実験キット(お絵描き実験用)の基本構成は「6cmシャーレ2枚分」に相当する。仕様はいわゆる特殊包装(フィルムバッグ、スポイトパック)、容量は必要最低限、その取扱いには「解説書」の理解が必要である。よって、自己研鑽の仕様であり「Ready-to-Use:迅速簡便に実験キットの検討を行う」に適した仕様を旨とした。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・ 2. 集団実験の実施要領と実験材料の概要(バルク一括仕様) 集団実験など「多量の実験材料」を必要とする場合、その溶液は個別包装(スポイトパック)ではなく、利用者総数に応じた必要量を容器に一括分注し提供される(を予定する)。受け取り後は、よって、担当者による実験準備が必要であり、その概要は以下の各項目である。 利用者側の準備品
1. 班構成集団実験では細胞液量(フィルムバッグ細胞は約12ml:シャーレ2枚分)の関係から「2人1班」を基本単位とするが、4人テーブルの場合は2班で「1グループ」と考える。よって以下に記すグループ量(必要量ml/グループ)とは、実験テーブルを共有する人数に応じた数量である。基本的には「2人1班」なので偶数人数による実践実験とする。 2. 溶液の状態溶液(Gel, MC, Ca-Med, G-Fix, CV)は、スポイトパックのような個別包装ではなく、学習者数に応じた総量を「容器に一括分注」し発送(提供)される。実際に学習者(受講者)が用いる時は、改めて、以下に示す「ポリカップ」や「スポイト試験管」に必要量を分注し「グループ量」として提供する。なお、MCとCVは濃縮液なので希釈調製を要する。 3.「ポリカップ」の利用(MC, Ca-Med, CV)溶液(MC, Ca-Med, CV)は、グループ量に応じて、使い捨て型の小型透明ポリカップ(食品用の新品を用いる、50mlカップなど)に分注する。但し、必ず転倒防止策(下記4を参照)を講じ提供する。また、カップには「溶液の種別」を明記する。ちなみに、受講者が実験操作を行う場合は、「栄研3号スポイト」で所定量を吸引/吐き出しにより用いる(実験シャーレに添加する)。よって、提供する時は実技操作用のスポイトを添える。 4. カップの転倒防止溶液を分注したカップは「スポイトを立て置く」などにより転倒する可能性が大であり、転倒防止策は必須である。方法は、1)ガラスビーカーにポリカップを入れる/立てる。2)ポリカップ2個を重ね、その内底に「オモシ」を入れる。例えば大型の「平板ワッシャ-:ボルト・ナットの中間金属」を入れる。 5.「スポイト試験管」の利用(Gel, G-Fix)栄研3号スポイトの刻印1.5mlレベルを清浄なハサミで切り取り、先端部を除いたものを「スポイト試験管」とする。作製後はポンピング部に油性ペンで液種別を明記する。溶液(Gel, G-Fix)は少量なので必要量をスポイト試験管に「グループ量」を分注し用いる。そのスタンドには50mlビーカーなどを用いる。提供する時は操作用のスポイトを添える。 6. 濃縮液(x20MC、x4CV)の希釈調製1)濃縮メチルセルロース(MC)は、例えば、透明カップに蒸留水約100mlを入れ、濃縮MC液5ml をスポイトで加え希釈し、その後、種別を明記したカップにグループ量を分注する。提供する時は操作用のスポイトを添える。 7. 溶液準備の時期(実験準備)溶液の準備は、気化減少(目減り)や異物混入を防止するため、実験実施の直前(あるいは当日)に行うことが望ましい。必要に応じ、カップのフタ(蓋)として「φ10cmシャーレ」を代用として用いる。スポイト試験管の場合は「切取りポンピング部」でキャップとする。 8. 危険液への配慮繰り返しとなるが、学習実験では「安全に対する配慮」は実施担当者の責任である。固定液(G-Fix)、染色液(CV)の取扱いについては十分注意してください(配慮してください)。 ・・・・<先頭行へ移動>・・・・
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発送物品:集団実験用の仕様とその必要量 (実施予定日:_月_日) * 総数 人分=担当者 人+受講者 人、 * 予備 人分、 グループ数: テーブル) |
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ID | 略号 | 名称 | 必要量/1人 | 発送状態 | 総数量 (予備) |
A | Cell | フィルムバッグ細胞 | 約6ml | 12mlバッグ | pc( pc) |
B | φ6cm培養シャーレ | 1枚 | バルク一括 | 枚( 枚) | |
C | Gel | ゼラチン | 約0.25ml | PPチューブ | ml( ml) |
D | 綿棒 | 1本 | バルク一括 | 本( 本) | |
E | x20.MC | 20倍濃縮MC | 0.2ml | PPチューブ | ml( ml) |
F | Ca-Med | 2次培養液 | 5ml | 培養フラスコ | ml( ml) |
G | 栄研3号スポイト | 6本 | バルク一括 | 本( 本) | |
H | G-Fix | 固定液 | 0.15ml(3滴) | PPチューブ | ml( ml) |
I | x4.CV | 4倍濃縮染色液 | 約1ml | PPチューブ | ml( ml) |
補足:濃縮液は「精製水」で希釈。栄研3号スポイトはグループ共有。MC,Ca-Med,G-Fix,CVの各液に1本、細胞液は2人に1本、よって、スポイト必要数は「グループ当たり6本」となる。「PP」とは材質「ポリプロピレン」。「予備」数量も付記する。 |
集団学習の場合は「工程時間割」が必要。待ち時間は「解説や協議」などにも利用する。
Step | 名称物品 | 予定する実施時間 | 補足コメント |
0 | 準備 | _時_分〜_時_分(__分間) | 物品・段取りの確認/解説 |
1 | ゼラチン | _時_分〜_時_分(_分間) | 加温溶解、完全乾燥、保存可能 |
2 | MC | _時_分〜_時_分(_分間) | 処理は1分以下でもOK |
3-1 | Cell/播種 | _時_分〜_時_分(_分間) | 落ち着いて細胞の単離分散 |
培養 | 1次培養 | _時_分〜_時_分(_分間) | 最低60分以上/できるだけ長く |
3-2 | 底面確認 | _時_分〜_時_分(_分間) | 形が明瞭になるまで回転 |
追加培養 | _時_分〜_時_分(_分間) | (省略が可能) | |
3-3 | Ca-Med | _時_分〜_時_分(_分間) | 浮遊化細胞はできるだけ除去 |
培養 | 2次培養 | _時_分〜_時_分(_分間) | 10分程度でもOK |
3-4 | タッピング | _時_分〜_時_分(_分間) | 数回まで |
追加培養 | _時_分〜_時_分(_分間) | (省略が可能) | |
4 | 固定/染色 | _時_分〜_時_分(_分間) | 固定2分、染色3分でもOK |
5 | 観察まとめ | _時_分〜_時_分(_分間) | 固定のまま保存もOK |
(培養時間) | * 1次培養:合計__分間、 * 2次培養:合計__分間 |
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補足:培養時間、特に1次培養は「細胞の自律的な活動時間」なのでできるだけ長いと好結果となる。培養環境と時間を保証すれば自発的な行動を示し発展的な様態を示す。上記「波線」は一時中断が可能な境界を示す。 |
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今日の実験はいかがでした。実験システムの制作者として幾つか質問をあります。回答は番号に丸印や自由記述でお願いします。記入欄が不足の時は用紙ウラ側も使って下さい。よろしくお願いします。
質問1. 学年:__年生、 性別:1)男、2)女
質問2. 生物学は好きですか:1)特に好き、2)普通、3)あまり好きではない
コメント :_______________________________
質問3. 「培養細胞/細胞培養」という言葉をこれまで聞いたことがありましたか
:1)YES, 2)NO、
いつどこで :______________________________
質問4. 実験は落ち着いて行えましたか?:1)YES, 2)NO、3)その他
コメント:________________________________
質問5. 実験は有意義でしたか?
1)大変有意義だった、2)それなりに有意義だった、3)あまり意義を感じなかった、4)その他
理由 :________________________________
質問6. 実験方法や実技操作で戸惑ったことはありましたか。工程名や状況を記してください。
:___________________________________
質問7. あなたの実験結果は上出来でしたか:1)YES, 2)NO、3)その他
理由:_________________________________
質問8. 今後も細胞培養実験を行いたいですか:1)YES, 2)NO、3)その他
コメント:________________________________
質問9.このような細胞培養実験を後輩に勧めますか:1)YES, 2)NO、3)その他
コメント:________________________________
質問10. どのような解説や質問(質疑応答)が印象に残りましたか?
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質問11. 最後に感想や意見など、自由記述をお願いします。ウラ側に記述してください。
:___________________________________
:___________________________________
:___________________________________
:___________________________________
:___________________________________
:___________________________________
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以上で本編は終わりです。
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.0 中 Fig.00 右 Fig.000)
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<1-3>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.1 中 Fig.2 右 Fig.3)
<先頭行へ移動>
<4-7>
*
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.4 中 Fig.5 右 Fig.6 )
<先頭行へ移動>
<7-9>
*
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.7 中 Fig.8 右 Fig.9 )
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<10-12>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.10 中 Fig.11 右 Fig.12)
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<13-15>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.13 中 Fig.14 右 Fig.15 )
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<16-18>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.16 中 Fig.17 右 Fig.18 )
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<19-21>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.19 中 Fig.20 右 Fig.21)
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<22-24>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.22 中 Fig.23 右 Fig.24 )
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<25-27>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.25 中 Fig.26 右 Fig.27)
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<28-30>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.28 中 Fig.29 右 Fig.30 )
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<31-33>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.31 中 Fig.32 右 Fig.33 )
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<34-36>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.34 中 Fig.35 右 Fig.36 )
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<37-39>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.37 中 Fig.38 右 Fig.39 )
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<40-42>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.40 中 Fig.41 右 Fig.42 )
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<43-45>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.43 中 Fig.44 右 Fig.45 )
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<46-48>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.46 中 Fig.47 右 Fig.48)
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<49-51>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.49 中 Fig.50 右 Fig.51)
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<52-54>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.52 中 Fig.53 右 Fig.54)
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<55-57>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.55 中 Fig.56 右 Fig.57)
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<58-60>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.58 中 Fig.59 右 Fig.60)
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<***>
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