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実演生物学:実験講義の実践展開
<単位「細胞」を基軸とした動物体の成り立ちCh.7 発展-1

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・・・本章の講義解説に用いた一連のスライドは、ここクリックし参照・・・


本章の構成(目次)
 Ch.7 発展-1細胞が生きる仕組み(生育条件と環境)・・(約60分)
  □ 1(協議10Q10. 動物細胞と細菌の違い(技術と性質)
  □ 2(学習 7) 生体組織と細胞:組織の基本構造(上皮細胞、基底膜、極性)
  □ 3(学習 8) 細胞が生きる仕組み:培養3要素+α(生体との類似性)
  □ 4(解説 4) 血液成分と生理活性物質(細胞増殖因子)
  □ 5(協議11Q11. 低密度細胞培養の行方
  □ 6(学習 9) 細胞周期と細胞分裂:分裂増殖、接触阻害、細胞シート
  □ 7(協議12Q12. 細胞の分化:腸上皮細胞の培養と組織化
  □ 8(協議13Q13. 止血反応:血小板、基底膜、細胞増殖因子、損傷治癒
  □ 9(解説 5) コラーゲンと生体反応
        :壊血病、コラーゲン合成、体温、多細胞化

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Ch.7 発展-1:細胞が生きる仕組み(生育条件と環境)>

本章「発展-1」では、動物細胞の位置付けを多面的に考察する。その基本的な視点は「細胞が生きる仕組み」であり、培養細胞と生体組織細胞の両面から考察する。発展的には幾つかの「生体現象」を取り上げ、それら事象を考察する視点の提供をこれまでの実験学習から導き出す。基本単位「細胞」の基本的性質の重要性を確認する。


7-1(協議10)Q10. 動物細胞と細菌の違い(技術と性質)

図7.1:動物細胞と細菌は何が違う?

 Q選択肢:増殖速度、栄養要求、基質要求、その他

2 2 2
(画像をクリック: 左 Fig7.1   中 Fig7.2   右 Fig7.3 )
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<7-2(学習 7) 生体組織と細胞:組織の基本構造(上皮細胞、基底膜、極性)>

図7.2, 7.3 ():細胞シートは生体においては「上皮組織」と呼ばれる。その上皮組織はどこにあるのだろう。

図7.3に用いる用語は、
(1) 上皮組織、(2) 結合組織、(3) 筋組織、(4) 神経組織、(5) 基底膜
(6) コラーゲン繊維層、(7) 平滑筋、(8) 内皮細胞、(9) 赤血球、(10) 漿膜/ショウ膜、(11) 線維芽細胞、(12) ウラ側、(13) オモテ側、(14) 体腔、(15) 管腔

A.___、B.___、C.___、D.___、E.___、F.____、
G.____、H.___、I.___、J.___、K.___、

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7-3(学習 8) 細胞が生きる仕組み:培養3要素+α(生体との類似性)>

図7.4 ():細胞培養とは「生体組織細胞の存在様式をシャーレなどに再現する事」であり、動物培養細胞が生きるに必要な基本的な条件は図7.4に示す「細胞培養3要素+α」である。では、この「3要素+α」とはどのようなことか。

1)培養基質: ____________________________
2)基礎培地(液体培養液): _____________________
3)必須添加物: ___________________________
4)その他(+α): _________________________

2 2 2
  (画像をクリック: 左 Fig7.4   中 Fig7.5   右 Fig7.6 )
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7-4(解説 4) 血液成分と生理活性物質(細胞増殖因子)>

図7.5, 7.6 ():細胞培養に用いる「液体培地(基礎培地)」には、必須添加物として「血清」が添加される。これは何?

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7-5(協議11)Q11. 低密度細胞培養の行方

図7.7 ():顕微鏡観察では、緻密な細胞の配列による「細胞シート」を期待したいが、実際に観察すると、細胞がない隙間部分もあったと思う。その理由は幾つか上げられるが、そのまま培養を継続するとどうなるか?
(可能なら隙間が生じたお絵描き実験のシャーレを翌日まで培養してみよう)

*選択肢
:(1)そのままで変化しない。(2)栄養が続く限り分裂増殖を続ける。
  (3)分裂増殖を繰り返すが隣の細胞と接触すると分裂増殖を止める

2  2 2
(画像をクリック: 左 Fig7.7  中 Fig7.8  右 Fig7.9 )
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7-6(学習 9) 細胞周期と細胞分裂:分裂増殖、接触阻害、細胞シート>

図7.8, 7.9 ():細胞分裂や細胞周期は生物学学習の必須課題であるが、ところで、体の中の細胞はいつでも分裂増殖しているのだろうか。体の中の細胞は細胞周期で言えば、どのような状態なのだろう。「」とはどのような状態か?

 答えとしては、「多くの細胞はG0」である(図7.8)。つまり、分裂増殖はしていない。体組織の細胞のほとんどは役割を果たすため生きているので「分化した細胞状態」であり、この場合は細胞周期から飛び出し、分裂増殖を止めた状態である(G0期)。分裂していては「忙しくて」その他のことはできないと云った状態である。
 ところで、7-5の協議に対する回答は、「(3) 分裂増殖を繰り返すが隣の細胞と接触すると分裂増殖を止める」であるが、つまり、まとめると、図7.9となる。
 ここで重要なことは、なぜ「単層の細胞シート」が重要か、である。つまり、隙間があれば細胞は分裂を繰り返し未進出領域を埋めるまで増殖する。しかし、細胞はお互いに接触すると分裂増殖を停止する(仕組みを保持する:接触阻害)、という特徴的な性質を示す。結果的には「単層の細胞シート」を形成する。
  しかし、このプロセスや性質を守らない細胞は「癌細胞」と呼ばれるようになる。協調的でない細胞ということである。つまり、単層の細胞シートを正しく形成することは「正常」細胞の証であり、次のステップ「G0における機能発現」へのスタートラインに立つ、というイメージである。
 なお、正常細胞でもその経緯から分裂増殖を頻繁に行なっているところがある。つまり、細胞寿命が短い細胞を生み出すところ、例えば、腸上皮、骨髄造血器、頭皮毛根、などである。抗がん剤の多くは分裂増殖を阻害するが、それらの組織はその影響を強く受ける。吐き気や貧血、脱毛と云った副作用も出るが、頻繁に増殖を繰り返す癌細胞はよって強く抑制/阻害を受ける。
以下に「まとめ」を記す。

*確認(まとめ)
  :実験を通じて培養細胞が示した基本的な性質や現象(2.と5.は補足)

  1. _____・_____
      :足場/基質となる物質(コラーゲンなど)を認識し、接着・伸展した。
  2. _____・_____
      :伸展細胞は隣接細胞と協調的に移動配列した。
  3. _____・_____
      :隙間があれば分裂増殖し、隣接細胞と接すると増殖を停止する。
  4. ___________の形成
      :最終的に、切れ目のない集落「単層の細胞シート」を形成した。
  5. ______/_____
      :培養条件を整えると機能的な細胞となる。最終的には細胞死に至る。
  6. 細胞の社会性:足場依存性と細胞シートの形成
記入例を参照する

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7-7(協議12)Q12. 細胞の分化:腸上皮細胞の培養と組織化

図7.10, 7.11 ():例えば、体内の腸(上皮)の細胞は円柱状であるが、しかし、通常の細胞培養法では扁平な形になってしまう。では、培養法を工夫して、その扁平な細胞を体内と同じような「円柱状の細胞」とするにはどうしたら良いだろう。
*はじめに、培養細胞と体内細胞の様態の違いから考えてみよう。
*次に、円柱状に分化させる方法(機能を発現する方法)を考えてみよう。

選択肢:(1) 遺伝子を導入、(2) 細胞増殖因子を添加、(3) 容器を変える、(4) その他

2 2 2
(画像をクリック: 左 Fig7.10   中 Fig7.11   右 Fig7.12 )
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7-8(協議13)Q13. 止血反応:血小板、基底膜、細胞増殖因子、損傷治癒>

図7.12 ():実験結果から分かるように、ゼラチン(コラーゲンの変性物)とアルブミンは細胞接着において異なる性質を示す。これを生体現象として考察したい。
 例えば、皮膚に小さな切り傷ができると出血するが、放置すれば血はすぐ止まる。切り傷は時間が経てば自然に治る。 つまり、止血反応と創傷治癒について、上記の物質や体内の組織構造から考察する(模式図的に考えてみよう)。協議結果は下記「空欄のある作文」に準じて説明しよう。

ヒント:細胞シート、つまり上皮組織の直下(ウラ側)はコラーゲンなどを主成分とする「基底膜」がある。血液の組成や成分に関する知識も必要である(例えば、血小板)。

血液中の(1)____は、コラーゲンに接すると強く接着結合する。傷口の出現は、細胞層直下の(2)____や(3)______ (コラーゲンが主成分)を露出させる。出血した時、血小板はその基底膜や繊維性結合組織に(4)_____し凝集塊を形成する。更に、フィブリンの凝集も加わり止血する。凝集した血小板は壊れるが、その時、(5)______(PDGF)を放出し、その結果、周辺の細胞が(6)____・(7)_____し、治癒に向かう。

記入例を参照する

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7-9(解説 5) コラーゲンと生体反応
        :A.壊血病、B.コラーゲン合成、C.体温、D.多細胞化>

A. 図45:コラーゲンとは何、何処にある?
 1) コラーゲンは ______の_______の主成分(構造タンパク質)。
 2) コラーゲンは ______の_____側にある。
 3) コラーゲンは 細胞層の間を埋める。
 4) コラーゲンは 直接______ないところにある。

記入例を参照する

2 2 2
(画像をクリック: 左 Fig7.13   中 Fig7.14   右 Fig7.15 )
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参考資料:コラーゲン含量の多い臓器(肝臓などは極めて少ない)
コラーゲンの重量比( %:g/100g湿重量)
臓器
無機物
有機物
有機物:構造蛋白質
コラーゲン (%)
エラスチン
糖タンパク質
皮膚
65
1
34
25 (74)
0.6
2
63
0.5
37
32 (86)
2
1
靱帯
58
0.5
42
7 (17)
____
0.5
大動脈
76
0.7
23
4 (____)
8
1
軟骨
____
1.5
29
16 (____)
0
10
____
____
25
23 (____)
0
0.2
象牙質
11
69
20
18 (90)
0
0.5

記入例を参照する

今回の実験講義で特に重要な物質はコラーゲンであった。ところで、体内のコラーゲンはどの細胞がどのようにして作っているのだろう。下記はコラーゲンに関連するトピックスである。 話題にしてみよう。

B. 壊血病(かいけつびょう Scorbutus スコルビュタス)とは?
  :_________________________________
C. 図7.14:コラーゲン合成の仕組みとは?
  :_________________________________
D. なぜ動物は酸素を必要とするか?
  :_________________________________
E. 図7.15:動物の棲息温度/体温/コラーゲン
  :________________________________

補足1:コラーゲンは身近な物質であるが、科学的にもたいへん重要な物質である。例えば、コラーゲンは生育温度に関係する(例えば、体温計は42℃までしかない)。また太古の昔、多細胞生物が生じる時にも重要な役割を果たしたと考えられている。その経緯を考えてみよう。

補足2:海綿動物をはじめ多細胞動物はコラーゲンを「細胞接着結合の基質」として利用する。つまり、多細胞化が始まった時にコラーゲンが必要であった。7億年前、多細胞化が始まったと推定されるが、その時、地球の大気中の酸素濃度が急上昇している。コラーゲン合成には酸素が必要性という経緯も頷くことができる。酸素があるから多細胞進化が始まった

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<以上、「Ch.7」は完了:先頭行へ移動 目次シートへ移動

(実技図解集へは、ここをクリックして移動する)


<記入例760>

*確認(まとめ)
  :実験を通じて培養細胞が示した基本的な性質や現象(2.と5.は補足)
  1. _接着_・_伸展_
    :細胞は、足場/基質となる物質(コラーゲンなど)を認識し、接着・伸展した。
  2. _移動_・_配列_
    :伸展した細胞は隣接細胞と協調的に移動配列した。
  3. _増殖__・_接触阻害_
    :隙間があれば分裂増殖し、隣接細胞と接すると増殖を停止する。
  4. _細胞シート_の形成
    :最終的に、切れ目のない集落「単層の細胞シート」を形成した。
  5. _機能発現_/_分化_
     :培養条件を整えると機能的な細胞となる。最終的には細胞死に至る。
  6. 細胞の社会性:足場依存性と細胞シートの形成

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<記入例780>

血液中の(1)_血小板_は、コラーゲンに接すると強く接着結合する。傷口は、細胞層直下の(2)_基底膜_や(3)_結合組織_ (コラーゲンが主成分)を露出させる。出血した時、血小板はその基底膜や繊維性結合組織に(4)_接着結合_し凝集塊を形成する。更に、フィブリンの凝集も加わり止血する。凝集した血小板は壊れるが、その時、(5)_血小板由来増殖因子_(PDGF)を放出し、その結果、周辺の細胞が(6)_移動_・(7)_増殖_し、治癒に向かう。

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<記入例790>

A. 図45:コラーゲンとは何、何処にある?
 :_細胞層の裏側にある_
 1) コラーゲンは _繊維性_の_結合組織_の主成分(構造タンパク質)。
 2) コラーゲンは _細胞層_の_ウラ_側にある。
 3) コラーゲンは 細胞層の間を埋める。
 4) つまり、コラーゲンは 直接_触れられ_ないところにある。

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<記入例791>

コラーゲン含量の多い臓器(肝臓などは極めて少ない)
コラーゲンの重量比( %:g/100g湿重量)
臓器
無機物
有機物
有機物:構造蛋白質
コラーゲン (%)
エラスチン
糖タンパク質
皮膚
65
1
34
25 (74)
0.6
2
63
0.5
37
32 (86)
2
1
靱帯
58
0.5
42
7 (17)
_32_
0.5
大動脈
76
0.7
23
4 (_17_)
8
1
軟骨
_70_
1.5
29
16 (_55_)
0
10
_10_
_65_
25
23 (_92_)
0
0.2
象牙質
11
69
20
18 (90)
0
0.5

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(画像をクリック: 左 Fig16  中 Fig17  右 Fig18 )
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(画像をクリック: 左 Fig19   中 Fig20   右 Fig21 )
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(画像をクリック: 左 Fig22   中 Fig23   右 Fig24 )
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(画像をクリック: 左 Fig25   中 Fig26  右 Fig27 )
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(画像をクリック: 左 Fig28   中 Fig29   右 Fig30 )
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(画像をクリック: 左 Fig31   中 Fig32   右 Fig33 )
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(画像をクリック: 左 Fig34   中 Fig35   右 Fig36 )

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(画像をクリック: 左 Fig37   中 Fig38   右 Fig39 ) 
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(画像をクリック: 左 Fig40   中 Fig41   右 Fig42 ) 
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(画像をクリック: 左 Fig43   中 Fig44   右 Fig45 ) 
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(画像をクリック: 左 Fig46   中 Fig47   右 Fig48) 
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(画像をクリック: 左 Fig49  右 Fig50) 
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(画像をクリック: 左 Fig0   中 Fig00   右 Fig000) 
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