本章の構成(目次)
Ch.2 導入(1)・・(約45分)
□ 1(解説1) 基本実験(Exp.A:お絵描き実験)
:1) 概要とロジック、2) 実験方法の概要(基本4工程)
3) 培養時間の取り扱い
□ 2(Exp.A) 実技Step1:ゼラチン塗抹
□ 3(協議1) Q1.身近な生体物質
:1) 骨切り実験、2) 加熱実験、3) 変性とは
□ 4(学習1) 実験材料の基本的な性質
□ 5(学習2) 動物細胞と培養技術
:1) 培養細胞・細胞培養、2) 培養細胞の特徴、
□ 6(要約2) 生体物質の基本区分:細胞と細胞間物質(ECM)
<Ch.2
導入-1>
概要:本章「導入-1」では、(1) 本実験講義の柱となる「魚類培養細胞による形態形成に関する基礎実験:通称 お絵描き実験」の概要を解説する。(2) 5工程からなる本実験の初期段階を実施する。(3) 主要材料に対する見方・考え方も考察する。
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<2-1(解説1) 基本実験(Exp.A:お絵描き実験)>
1) 概要とロジック
<基本実験「お絵描き実験」とは?>
自分自身がその昔たった1粒の細胞だったことを想像すると不思議な気がします。本当に体は細胞からできているのか疑ってしまいそうです。生物の教科書には動物細胞の事がたくさん書いてありますが、皆さんは実物の動物細胞を見たことがありますか?
百聞は一見に如かずです。今日は魚類の培養細胞を用い、「生きている細胞をシャーレに入れたらどうなるか」というテーマで細胞の話を進めます。動物細胞の単純な振る舞いを実験観察し、組織形成や体の成り立ちの基本を一緒に考えてみたいと思います。生物学基幹実験と位置付けてみます。
お絵描き実験のロジック
- 体は「____」からできてくる。
- 体は「____と________」でできている。
- ↓それなら、
- 生きてる____と_______の____(細胞間物質)があれば「形」ができるはず。
- それらの性質や役割が解れば「___」ができるはず。5)______としてできるはず。
- ↓それなら、
- 「______:動物培養細胞による形態形成の基礎実験」をしてみよう。
- 実験とはともかく何かを確かめること。君は何を確かめたい?
<記入例を参照する>
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2)
) 実験方法の概要(基本4工程):図2.1, 2.2 (↓)
「お絵描き実験」の方法は基本4工程である。一般に、細胞培養実験には専門性(技術や装置)が不可欠であるが、本実験では、魚類由来の株化細胞による細胞実験キットを用いるため、迅速簡便な取り扱いで行なう。しかし、生細胞を取り扱う視点とその対応は同じである。具体的な実験操作法については、別様「実技図解集」を参照する。
*用いる培養細胞はファッドヘッド ミノー(アメリカ産の温水性魚類)という小魚に由来する株化細胞(不死化細胞)でFHLS細胞という名称の細胞である。サカナの細胞であるが、他の脊椎動物細胞と同様に考えて支障はない。
(画像をクリック: 左 Fig2.1 中 Fig2.2 右 Fig2.3 )
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3) 培養時間の取り扱い
細胞培養実験には「培養時間」が不可欠である。単純に言えば「待ち時間」であるが、細胞自身にとっては「自律的な活動時間」である(重要である)。本実験では、この観点から培養時間に観察や操作を加え、理解を深める。詳細は実技図解集を参照。
(実技図解集へは、ここをクリックして移動する)
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<
2-2(Exp.A) 実技Step1:ゼラチン塗抹>
実技図解集とデモンストレーションに基づき、要点を確認した後、実技を行なう。
(実技図解集へは、ここをクリックして移動する)
時刻(工程開始時刻)や気づいた事は図解集の下段空欄などに記入する。
メモ:____________________________
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<2-3(協議1)
Q1.身近な生体物質 (図2.3 ↑) >
以下の項目について話し合いと確認実験を行なおう。
1) 骨は何からできている?
:_________________________________
2) その成分を除いたらどんな形
:_________________________________
3) 骨を切る方法は
:_________________________________
4) 加熱実験
:_________________________________
5) 変性とは
:_________________________________
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<2-4(学習1)
実験材料の基本的な性質>
<主要な細胞間物質(生体物質):実験材料の特徴> |
|
ゼラチン
:_______の変性物 |
血清アルブミン |
所在 |
体全体:_____の成分
(__や_など) |
血液(_____成分) |
含量, 形 |
最大含量の____タンパク質。
____状 |
最大含量の_____タンパク質。
____状 |
役割 |
細胞層の間を埋める |
脂質や鉄などの運搬 |
利用 |
食品、化粧品、工芸品、医薬品など |
食品、医薬品など |
物性 |
加熱で溶解 |
加熱で凝固 |
補足 |
どんな動物にもある重要なタンパク質。 |
類似物質は___や____にも多量含まれる |
「コラーゲン」と「アルブミン」の物性は_______性質 |
<記入例を参照する>
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<2-5(学習2)動物細胞と培養技術>
1) 培養細胞・細胞培養:3層構造:図2.4,
2.5(↓)
本実験学習の主役は動物細胞であるが、「細胞」とは体に属する自然物であり、そこここに落ちているものではない。しかし、体の中の細胞も「細胞培養技術」に従えば「培養細胞」として取り扱うことができる。つまり、培養細胞とは「生体組織から摘出されシャーレなどで人為的に生かされる細胞」のこと。細胞培養とは簡単に云えば「生体組織の細胞が生きるその存在様式(微小環境)を人為的にシャーレなどに再現する」ことである。一般的に、培養細胞は容器(培養フラスコ)のなかで「3層構造」で維持管理される。つまり「固層、液層、気層」を必要とする。
(画像をクリック: 左 Fig2.4 中 Fig2.5 右 Fig2.6 )
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2)
培養細胞の特徴(足場依存性):図2.5(↑)
細胞培養には「培養フラスコ」や「培養シャーレ」が必要であるが、その特徴は細胞が張り付くに適した材質でできていることにある。つまり、培養細胞は一般的な特徴として底面に接着(接着結合)する。模式図は側面図なので、細胞は平たい扁平な形で描かれている。体細胞も含め、細胞のこの性質を「足場依存性」と呼ぶ。
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<2-6(要約2)
生体物質の基本区分:細胞と細胞間物質(ECM) >
図2.6(↑):生体成分を区分すると「細胞と細胞間物質」になる。細胞間物質には「構造性物質と液性物質」がある。構造性物質の主要な成分は「コラーゲン、エラスチン、糖タンパク、リン酸カルシウム」である。ちなみに、細胞を区分すると「固定性細胞と遊走性細胞」であり、細胞内の物質は「構造性成分と液性成分」に区分できる。
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<以上、「Ch」は完了:先頭行へ移動 目次シートへ移動>
<記入例211>
お絵描き実験のロジック
- 体は「_細胞_」からできてくる。
- 体は「_細胞_と_細胞間物質_」でできている。
- ↓それなら、
- 生きてる_細胞_と_生体由来_の_物質_(細胞間物質)があれば「形」ができるはず。
- それらの性質や役割が解れば「_形_」ができるはず。
- _科学実験_としてできるはず。
- ↓それなら、
- 「_お絵描き実験_:動物培養細胞による形態形成の基礎実験」をしてみよう。
- 実験とはともかく何かを確かめること。君は何を確かめたい?
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<記入例240>
<主要な細胞間物質(生体物質):実験材料の特徴> |
|
ゼラチン
:_コラーゲン_の変性物 |
|
所在 |
体全体:_結合組織_の成分
(_真皮_や_骨_など) |
血液(_血清_成分) |
含量, 形 |
最大含量の_構造_タンパク質。
_繊維_状 |
最大含量の_液性_タンパク質。
_球_状 |
役割 |
細胞層の間を埋める |
脂質や鉄などの運搬 |
利用 |
食品、化粧品、工芸品、医薬品など |
食品、医薬品など |
物性 |
加熱で溶解 |
加熱で凝固 |
補足 |
どんな動物にもある重要なタンパク質。 |
類似物質は_卵_や_牛乳_にも多量含まれる |
「コラーゲン」と「アルブミン」の物性は_相反する_性質 |
<戻る>
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